人をコストとして見ることの悲劇

新聞で2つの記事が目に付いた。

・スズキ自動車のインド工場で労働者の暴動・放火で死人が出た。
・日本では、長距離バス事業者が、大事故をきっかけに締め付けが厳しくなり、しかも過当競争のためにまともにやると採算が合わないため、現場の運転手に無理なサービス残業や、法律違反の運行をすることで無理やり事業を続ける一方、多くの事業者が撤退し、今後、価格が上がり、運行本数が減少することになる見込み。

一部の人間への締め付けを前提に描いた事業プランや、安値でしか客を捕まえることのできない事業者は、やはりどこかに無理が出てしまう。事業継続のためには、経営者がコストを見極めなければならず、人件費をどうするか、というのは経営の大きなテーマではあるが、人間は機械ではない。自分が、機械やコストとして見られ、安い金で、無理なしわ寄せや嫌なことを押し付けられたら、どう思うだろうか?

私が中国の発電所の建設現場で長期滞在した際、三菱重工にはボイラ担当とタービン担当の2人の所長がおり、私はボイラ担当の所長の元で仕事をした。私の所長は中卒の現場上がりで、このプロジェクト終了後まもなくして亡くなってしまったが、お客・部下とのつながりを大切にする人だった。もう一方の所長は、最終的には社内でソコソコの幹部になったエリートであるが、事務所にこもって、数字ばかりで人を管理し、お客サイドだけではなく、部下からも人気がなかった。

このプロジェクトは、無理な受注で採算が悪く、現場にしわ寄せがくる最悪の案件であったが、そういう案件だからこそ、所長がどこを向いて仕事をしているかがよくわかった。私の所長は客・現場を見て仕事をしていたのに対し、もう一方の所長は遠い日本の自分の上司を見ていた。遠く日本から採算しか見ない人たちからは、恐らく私たちの現場は何をやっているんだ、ということだったのかもしれないし、私も日本側と現場の間でしんどい思いをすることも多かった。しかし、今になってみると、やはり客や現場を見た対応をした私の所長が正しかったと思う。

スズキのインド工場の幹部は、暴動を起こしたような人たちの中に入っていって、酒を飲んだり、笑ったりしていたのだろうか?人を単なるコストや機械として見てはいなかったのだろうか?いずれにせよ、誰かに無理が集中するようなことは、長続きしないのだ。

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