中小企業診断士・行政書士・貿易アドバイザー・認定支援機関
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大阪府大阪市中央区 行政書士・中小企業診断士事務所(格安会社設立・遺言・相続・事業承継・(英文)契約書作成・事業業務提携・創業支援・融資計画書・経営戦略・事業計画・企業事業再生・神戸市・西宮市・芦屋市・尼崎市・伊丹市・京都市)

行政書士は、行政書士法(昭和26年2月22日法律第4号)に基づく国家資格者で、他人の依頼を受け報酬を得て、役所に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成等を行います。

特に近年、国民生活と行政の関係はより一層増しており、住民等が官公署に書類を提出する機会が多くなっています。又、社会生活の複雑高度化等に伴い、その作成に高度の知識を要する書類も増加しています。

行政書士が、官公署に提出する書類等を正確・迅速に作ることにより、国民においてその生活上の諸権利・諸利益が守られ、又行政においても、提出された書類が正確・明瞭に記載されていることにより、効率的な処理が確保されるという公共的利益があることから、行政書士制度の必要性は極めて高いと言われています。

行政書士は、その主要業務である各種許認可手続きに関するコンサルティングの専門家として、国民から大きく期待されています。

行政書士制度について
行政書士の前身は、明治5年の太政官達「司法職務定制」による「代書人制度」にあり、市町村役場、警察署等に提出する書類の作成を業とする者は、行政代書人として活動を行うことになりました。

明治30年代後半には、「代書人取締規則」が警視庁令や各府県令で定められ、大正9年11月、これら監督規定の統一化を目的に、内務省によって「代書人規則」が定められました。

戦後、代書人規則は昭和22年12月に一旦失効しましたが、その後、住民の便益に向け法制化を求める社会の動きを受け、昭和26年2月10日、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的とした「行政書士法」が成立し、同月22日に公布、3月1日に実施されるに至りました。

このようにして行政書士制度は発足し、数次の法改正を経て現在に至っています。

行政書士制度の理念・使命
行政書士は社会調和を図り、誠意をもって公正・誠実に職務を行うことを通じ、国民と行政との絆として、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献することを理念とし、またそれを忠実に実現することを使命としています。

したがって、法律専門国家資格者の中でも特に幅広い業務範囲を持つ行政書士は、国民の生活に密着した法務サービスを提供するべく、高い倫理観を持って職務にあたるよう心がけています。

行政書士の倫理
行政書士の使命を果たすため、その基本姿勢を以下の様に「行政書士倫理綱領」として制定し、それぞれの行政書士が日々これに従い活動するように心がけています。

行政書士は、国民と行政とのきずなとして、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献することを使命とする。

1. 行政書士は、使命に徹し、名誉を守り、国民の信頼に応える。
2. 行政書士は、国民の権利を擁護するとともに義務の履行に寄与する。
3. 行政書士は、法令会則を守り、業務に精通し、公正誠実に職務を行う。
4. 行政書士は、人格を磨き、良識と教養の陶冶を心がける。
5. 行政書士は、相互の融和をはかり、信義に反してはならない。

1.会社を作りたいと思ったら・・・
会社設立は、行政書士の代表的な業務の一つです。代理人として定款作成し、 会社設立だけでなく、設立後も、会計記帳や許認可申請、ISO認証(9001・14000)取得・・・ といった様々な分野で、サポートいたします。 また一口に法人といっても会社などの営利法人のほか、NPO法人などの非営利法人など、法人も様々です。
■会社設立
株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の設立
■公益社団法人・一般社団法人・一般財団法人・宗教法人・医療法人・学校法人・社会福祉法人
■各種事業協同組合・農業協同組合その他
特定非営利活動法人(NPO法人)
定款作成、議事録作成
■自治会、町内会等の法人化

2.建設業の許可を取りたい、公共工事に参加したい、・・・
営業の種類によっては、各種の許認可や届出が必要な場合もあります。 許認可には、法定の要件を満たす必要がありますし、添付書類の作成が煩雑な場合もあります。 また、許認可取得後も、一定期間ごとに更新手続が必要な場合が多いのでご注意ください。
官公署に提出する書類を業として作成できるのは、行政書士だけです。 お悩みの際は、最寄りの行政書士まで、お気軽にお尋ねください。
■建設業
許可申請(新規/更新)、変更届、経営規模等評価申請(経審)、入札資格申請
■宅建業
免許申請(新規/更新)、業者名簿登載事項変更届書、主任者資格登録簿変更登録申請書
■既存宅地確認申請
■宅地造成許可申請
■測量業者許可申請
■建築事務所登録申請(新規・更新・変更届)
■電気工事業開始届
■電気工事業者登録申請
■道路占有許可申請
■道路位置指定申請
■工作物確認申請
■建築確認申請(100平方メートル以下)
■官民境界確認申請
■河川使用許可申請
■砂利採取許可申請(河川)
■土石採取願
■公共上下水道設備指定事業者申請
■屋外広告物許可申請
■開発行為許可申請
■解体工事業届出
■風俗営業許可申請/営業開始届
■酒類販売業許可申請
■貸金業登録申請
■古物商、質屋等営業許可申請
■飲食店営業許可申請
■深夜酒類提供飲食店営業開始届
■旅館営業許可申請
■旅行業登録申請
■倉庫業許可申請
■食品製造許可申請
■食品販売店許可申請
■たばこ小売販売業許可申請
■理髪店、美容院、はり、あんま、医療施設等開設届
■薬局許可申請
■産業廃棄物処理業許可申請
■一般廃棄物処理業許可申請
■公害防止法関係届出(水質汚濁、大気汚染、騒音、振動)
■国立公園地区内の行為に関する諸許可申請
■風致地区内の行為に関する諸許可申請
■浄化槽工事業登録申請
■墓地関係申請(新設・増資・移転・廃止願等)
■工場立地法による工場設置届出
■第3種郵便認可申請
■簡易郵便局設立認可申請
■有線電気通信関係等の許可申請
■営業譲受認可申請
■プリペイドカード登録申請

3.社会保険・労働保険、手続でお困りでしたら・・・
昭和55年9月1日現在入会している行政書士は、各種社会保険の手続も行います。
■社会保険新規適用申請
■労働保険新規適用申請
■就業規則作成
■賃金規定、退職金規程
■労働保険事務組合設立認可申請

4.土地利用についてお困りでしたら・・・
一定規模の開発行為を行うにあたっては、たとえ自己の土地であっても、自由にできるわけではありません。 正式の行政手続を経る必要があります。 また土地の利用にあたっては、都市計画法上の用途区域や、建築基準法、農地法といった関連法規の規制などにも、注意が必要です。
■開発行為許可申請
■公有地(道路や水路等)の払い下げの申請
■公有地の使用許可、工事承認等
■公共用地境界明示申請
■農地法関連(権利移転、転用、転用目的権利移転他)許可申請・届出
■土地利用許可申請(都道府県・市町村)
■その他国土法の各手続

5.貨物運送を始めたい、自動車を買ったり売ったりの手続きは・・・
自動車に関する身近な手続も、行政書士の業務です。 また、交通事故に関する相談や、自動車を用いる営業を開始する際にも、行政書士はお力になります。 お困りの際は、お気軽にご相談ください。
■自動車登録申請
■検査申請
■車庫証明申請
■自動車税・軽自動車税申告
■自動車重量税申告
■特殊車両通行許可申請
■一般貨物自動車運送事業・特定貨物自動車運送事業許可申請
■貨物軽自動車運送事業届出
■第1種利用運送事業・第2種利用運送事業許可申請
■運送取次事業登録申請
■レンタカー許可申請
■タクシー営業許可申請
■バスターミナル申請
■自動車整備工場の許可申請
■自動車解体業・破砕業
■車両改造整備許可申請
■上記事業等に係る変更認可・営業報告等
■交通事故
■自賠責保険、任意保険金(後遺障害、損害賠償金)の請求
■示談書作成、

6.大切な約束を文章にしたいとき、・・・・日常生活でもお役に立ちます
行政書士は、身近な街の法律家です。契約手続の相談や書類の作成、著作物の保護、 内容証明書の作成等、お悩みの際は、最寄りの行政書士まで、お気軽にご相談ください。
■各種契約書・念書・示談書・協議書・合意書等
■嘆願書・請願書・陳情書・上申書・始末書
■内容証明郵便
■定款・規則・議事録
■著作権登録・著作物の確定日付・プログラム登録
■著作権調査・利用許諾業務
■著作権契約
■公庫融資手続
■一般旅券申請
■会計記帳・決算書類作成等
伝票(入金・出金・振替)・仕訳帳・総勘定元帳・補助勘定元帳・現金出納帳・預金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・試算表・決算書

7.外国人を雇いたいとき、・・・・身分上の業務あれこれ
戸籍に関する業務も行政書士の取扱業務です。 戸籍に関する手続のほか、戸籍簿謄本、住民票など、各種手続で必要な場合には、行政書士がお力になれます。
また外国人の方の入国・在留など入国管理法に基づく諸手続には、人生を左右する重大なものも含まれます。 ご自身での手続が困難とお感じになられましたら、最寄りの行政書士にご相談ください。
■戸籍の各種届出・手続
■外国人登録
■外国人在留資格認定証明書交付申請
■外国人在留資格変更許可申請
■外国人在留期間更新許可申請
■帰化申請
■永住許可申請
■外国人の招へい手続
■その他市民化窓口における各種手続

8.家族の方が、困らないように・・・・相続に関して
人は誰でも、やがて亡くなります。 自分の死後、遺産をめぐって肉親同士が、骨肉の争いをしないですむよう、生前から準備をしておくことも大切です。 遺言の作成・相談や、遺言執行は、最寄りの行政書士にご相談ください。
被相続人が亡くなられた場合、相続手続を開始するにあたっては、戸籍の調査、遺産目録の作成、遺産分割協議といった手続が必要です。 また、場合によっては、相続放棄手続をしないと、多大な負債を抱えてしまうこともあります。 相続手続でお悩みでしたら、最寄りの行政書士にご相談を。
■遺言書(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言等)
■遺言執行
■相続人の調査手続
■遺産目録の作成
■遺産分割協議書
■遺留分減殺請求

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そもそも電子申請とはなんですか?

都道府県庁や市役所などの官公署への各種申請・届出等手続きを、紙の書類を使わずにインターネットを利用して行うためのしくみです。

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電子申請になると何が便利になるのですか?

官公署の窓口にわざわざでかけなくても、自宅や職場のパソコンから申請ができます。原則として1年365日24時間いつでも申請ができます。また、申請の進捗状況をパソコンの画面で確認することもできます。
ところで、審査を実施するのは各申請窓口の担当者ですから、休日に電子申請をしてもすぐに審査が開始されるわけではありません。将来、人間の判断が必要な箇所以外はすべてコンピュータで自動チェックされるように審査システムが整備されれば、休日中にも審査が進行し、審査期間が大幅に短縮される可能性もある、と期待したいものです。

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電子申請のやり方のイメージがわいてこないのですが?

大まかには次のようになります。
電子申請の流れ

1.まず電子申請をするためにパソコンの環境を整えます。
2.電子申請利用の申し込みをします。
3.官公署のホームページからマニュアルや申請用アプリケーションを自分のパソコンにダウンロードします。
4.申請書の作成、送信を行います(添付書類や電子証明書も添付する)。
※電子署名が必要な手続の場合、あらかじめ取得しておいた電子証明書により電子署名を行い、申請書を送信。電子署名が必要ではない手続の場合は、そのまま送信。
なお、簡単な申請ならば、ホームページ上に表示された申請画面の空白の欄に必要事項を記入して「送信」あるいは「申請」ボタンを押すだけでOKというものがあります。
詳細については、申請を受けつける官公署のホームページに手順が説明されていますのでそれらを参照してください。

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セキュリティは十分配慮されているのでしょうか?

一般に、インターネットによる電子申請においては、次のような脅威があると言われています。
1.盗聴・漏洩(通信途中で送信したデータの内容を第三者に盗み見されてしまうこと)
2.改ざん(送信したデータが第三者に書き換えられて送信されること)
3.なりすまし(第三者があたかも送信者、受信者であるかのように装い、送受信を実行すること)
4.事実否認(送信者又は受信者が送信又は受信したことを否定すること)
紙で申請書類を提出する場合においても上記の脅威は存在しますが、我々は申請書類に実印を押し、印鑑証明書を添付し、書類全体を封筒にいれて、担当窓口に直接提出する(あるいは郵便制度を信頼して郵送する)ことによって対応しています。
これと同様の対策をインターネット上では、暗号化と電子認証という技術を用いて実現しようとしています。それは、次のような仕組みになっています。
暗号化は、公開鍵暗号方式を採用します。電子申請をしようとする人は、あらかじめ認証局と呼ばれる申請者の認証を行う機関に「公開鍵」を登録し、「公開鍵」が申請者のものであることの証明書(電子証明書:これが印鑑証明書に相当)を発行してもらいます。そして申請者は、申請書を「秘密鍵」で暗号化し、電子証明書を添付して官公署に送信します。受信した官公署は、認証局に照会してその電子証明書の有効性を確認し、電子証明書に添付されている申請者の「公開鍵」で、暗号化された申請書を解読して受け付ることになります。

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住民基本台帳ネットワークシステムとは、どんなものですか。住民票コードによって、国民を背番号で管理すると聞きましたが、本当ですか?

住民基本台帳ネットワークシステム(以下住基ネット)は、市区町村が住民のための事務を行う際に、基礎となる住民基本台帳を全国的にネットワーク化するものです。台帳に記載されている情報の中から、氏名・住所・性別・生年月日の4つの情報だけを盛り込み、住民票コードとこれらの変更情報により、全国共通の本人確認を行うためのシステムです。住基ネットは、地方公共団体共同のシステムです。国が一元的に管理するものではないので、市区町村から付された番号のもとに、国があらゆる個人情報を収集・管理する「国民総背番号制」ではありません。したがって、国家による個人情報の一元管理を行うものではありません。

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住基ネットには、どのような個人情報保護の措置が講じられていますか。個人情報が流出しないよう、十分な対応がなされているか心配です。

住民基本台帳法では、住基ネットの改正を受けて、市区町村、都道府県、指定された情報処理機関と本人確認情報の提供を受けた行政機関のシステム操作者(委託業者も含む。)に対し秘密を護る義務を課したうえ、通常より重い罰則を課しています(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金と規定。通常は1年以下の懲役又は3万円以下の罰金)。本人確認情報(氏名、生年月日、性別、住所、住民票コード及びこれらの変更情報)の提供を受けた行政機関は、法律で定められた事務の処理以外の目的で本人確認情報の全部や一部を利用してはならないとされています。

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電子署名や電子証明書とは何ですか?

「電子署名」とは、電子データが本人によって作成されたことを証明するための電子的な記録・署名のことです。いわば「実印」の役割をします。間違いなく本人から送信されたものであるということを確認できるため、成りすましやデータの改ざんを防ぐことができます。
「電子証明書」とは、「電子署名」が間違いなく本人から送信されたものかを確認する為に用いられるもので、いわば「印鑑証明書」の役割をします。電子証明書は、第三者機関が発行する電子的な証明書です。

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公的個人認証サービスとは何ですか?

行政機関等への電子申請を安全に行うため、本人確認をする際用いられる電子証明書を発行する公的なサービスです。
この電子証明書は市区町村の窓口で発行され、ICカード(住民基本台帳カード等)に格納されます。

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住基ネットを導入することで、どのようなメリットがあるのですか?

住基ネットによって、全国どこの市区町村でも、自分の住民票の写しを請求することができます。
また、従来役所で住民票の添付を求められていた手続についても省略が可能となるほか、引越の際に窓口への届出が、転入時の1回だけですむようになります。平成15年8月から実施されている住民基本台帳カードを利用した場合には、多様なサービスや広域的なサービスが受けられるなどのメリットがあります。

詳細につきましては、総務省ホームページをご参照ください

総務省住民基本台帳ネットワークシステム:http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/daityo/
総務省 住民基本台帳カード 総合情報サイト:http://juki-card.com/index.htm

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運送業の許可を受けるのに必要な要件を教えて下さい。

自動車運送事業(緑ナンバー)の許可の要件は、道路運送法及び貨物自動車運送事業法に基づき、各運輸局が公示基準として公開されています。
概ね以下の要件を整える必要があります。
詳細について不明な場合は、運輸局・行政書士等にご相談下さい。
1.営業所及び休憩睡眠施設
(都市計画法や建築基準法の制限をクリアする必要があります。)
2.自動車車庫
(車両制限令や農地法の制限をクリアする必要があります。)
3.事業用自動車
(原則として5両必要です。但し、遺体(霊柩)の輸送または一般廃棄物の輸送のみ行う場合は、1両から申請できます。)
4.乗務員
(運転者のこと)
5.運行管理者
(自社で雇用することが必要です。)
6.整備管理者
(自社で雇用することが必要です。)
7.資金的な裏付け
(事業を開始するのに必要な資金[設備資金・運転資金等]の50%以上を自己資金として確保する必要があります。)

2
赤帽のような軽自動車の運送業を開業したいと考えています。どのようにすればいいでしょうか?

軽自動車の運送業は、各都道府県にある運輸支局に書類を届け出ることにより事業を行うことが出来るようになります。
運輸支局で書類を審査した結果不備がなければ、予定する軽貨物自動車を事業用に登録することができます。
車両数は1両から申請できます。その他の要件や申請書・添付書類の詳細については、行政書士または管轄の運輸支局までご相談下さい。

3
要介護者・身体障害者等を輸送する運送業の許可について知りたいのですが。

平成16年4月の法改正で、一般乗用旅客自動車運送事業・特定旅客自動車運送事業・自家用自動車等有償運送事業の多様な形態の介護・福祉輸送事業が法律で定められました。
許可の要件はそれぞれの事業ごとで異なりますが、要介護者・身体障害者等を輸送する目的の運送事業の場合は、車両数は1両から申請が可能です。
詳細は、行政書士または運輸局・運輸支局までご相談下さい。

4
運送業の許認可というのは他にどのようなものがありますか。

運送業の許可はそもそも道路運送法と貨物自動車運送事業及び貨物利用運送事業法から成り立っています。
その中には、旅客として
(a)一般乗合旅客自動車運送事業(路線バスなど)
(b)一般貸切自動車運送事業(乗車定員11人以上の観光バスなど)
(c)一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー、ハイヤー、介護タクシー)
(d)特定旅客自動車運送事業(会社専属の送迎車等)
また、貨物として
(e)一般貨物自動車運送事業
(f)特定貨物自動車運送事業(特定の荷主の貨物のみ運送)
(g)貨物軽自動車運送事業(赤帽などの軽トラック)
(h)貨物自動車利用運送(自分では車両を持たず他の実運送業者を利用して運送を行う)

その他、リース業、特別積合せ運送業などが存在します。

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運送業を始めるのに何か資格はいりますか。

平成20年7月以後、申請する一般貨物自動車運送事業の事業主は申請後、法令試験を受験し合格しなければなりません。30問を50分で解答する試験で、道路運送法、貨物自動車運送法、道路運送車両法、労働基準法、道路交通法、その他関連法令知識を問われる試験です。
その他運行管理者と整備管理者の国家資格者を常駐して雇用する必要があります。

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倉庫業を始めるのに必要な要件を教えて下さい。

倉庫業の許可(登録)を受けるための重要事項は次のとおりです。
1.倉庫の建物は建築基準法・消防法の他、倉庫業法に基づく施設整備基準の要件を充たす必要が有り、これを証するため公的機関の各種証明書及び建築事務所の作成する公式図面が必要です。
2.有資格者の倉庫管理主任者を選任する必要が有ります。
3.機械警備・宿直制度等、営業時間外における管理システムを構築する必要が有ります。

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建設業を営みたいのですが、許可がないと営業できないのでしょうか?

軽微な建設工事のみを請け負って営業する場合は許可がなくても営業ができます。軽微な工事とは、1件の工事の請負代金が500万円に満たない工事(建築一式工事については、1件の工事の請負代金が1,500万円に満たない工事または延べ面積が150m2に満たない木造住宅工事)をいいます。ただし、建設業の許可が不要な軽微な工事のみを請け負っている場合でも、解体工事を請け負う場合には建設リサイクル法により解体工事業者の登録を受けることが必要ですのでご注意ください

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建設業許可は申請すれば誰でも受けられますか?

建設業法第7条に定める許可要件(主なものは次に示す4つ)等を満たす必要があります。
1.経営経験を有すること(経営業務の管理責任者の配置)
2.技術能力を有すること(専任技術者の配置)
3.財産的基礎を有すること
4.不正・不誠実な行為をしない者であること
※上記4点を満たしていて、さらに欠格要件に該当しないことが必要です。

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新規で建設業許可申請を考えています。
申請するにあたって、何か必要な要件はありますか?

建設業の、どの業種で許可を得るにしても必要な要件は4つあります。
1.建設業の経営業務について、総合的に管理する経営業務管理責任者がいること。法人では常勤の役員、個人事業では事業主本人か支配人登記をした支配人に限ります。また、この他にも、許可申請する建設業で5年以上の経営経験があることなど制約があります。
2.各営業所ごとに専任の技術者がいること。
3.財産的基礎、金銭的信用のあること。例えば、一般建設業許可でしたら、自己資本の額(貸借対照表の資本合計の額)が500万円以上あること、500万円以上の資金を調達できる能力があることのいずれかに該当しなければなりません。
※ 兵庫県の場合、500万円以上の預金残高証明書を求められることがあります。 ※ 北海道の場合、500万円以上の預金残高証明書を求められることがあります。
4.申請者、申請者の役員等、許可を受けようとする者が、成年被後見人・被保佐人等一定の欠格要件に該当しないこと。

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建設業許可には、どのような種類の許可があるのでしょうか?

建設工事の種類を次の28業種に区別されます。 土木工事業 建築工事業 大工工事業 左官工事業  
とび・土工工事業 石工事業 屋根工事業 電気工事業  
管工事業 タイル・れんが・ブロック工事業 鋼構造物工事業  
鉄筋工事業 舗装工事業 しゅんせつ工事業 板金工事業  
ガラス工事業 塗装工事業 防水工事業 内装仕上工事業  
機械器具設置工事業 熱絶縁工事業 電気通信工事業 造園工事業  
さく井工事業 建具工事業 水道施設工事業 消防施設工事業  
清掃施設工事業  
また、本店のみ又は1つの都道府県内に本店と営業所がある場合は、本店のある都道府県知事の許可となりますが、本店のある都道府県以外に営業所をおく場合は、国土交通大臣の許可が必要です。
さらに発注者から直接請け負った工事について3,000万円以上(建築一式工事では4,500万円以上)の工事を下請けに発注する場合は、特定建設業許可を取得する必要があります。それ以外は、一般建設業許可を取得すればよいということです。
有効期限は5年ですので、5年毎に更新手続きが必要です。どのような種類の許可が適しているのか、行政書士にご相談ください。

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申請にあたって相談がしたいのですが?

北海道行政書士会または各支部の「無料相談会」をご利用ください。または、北海道行政書士会・各支部へ直接ご連絡ください。連絡先や無料相談会についてはホームページに記載されています。 静岡県行政書士会「無料相談会」をご利用ください。詳細は、「行政書士の活動」をご覧下さい。 [大阪府]
大阪府行政書士会の無料相談会をご利用下さい。
http://www.osaka-gyoseishoshi.or.jp/pub/index.fcgi?mode=teiki_sodankai

[兵庫県]
兵庫県行政書士会市民相談センターを設けています。
電話 078-361-1399 へご相談下さい。

[和歌山県]
和歌山県行政書士会 電話 073-432-9775 にお問い合わせ下さい。

[滋賀県]
滋賀県行政書士会「行政書士くらしの無料相談所」にご相談下さい。
■予約電話 077-525-0360
■場所 滋賀県行政書士会館
■相談日 毎月第1木曜日・第3土曜日(13:30?16:30)

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手続を専門家にお願いしたいのですが?

お近くの行政書士にご依頼ください。建設業許可の申請手続等を本人に代わって業としてできるのは、行政書士法により、行政書士会に入会している行政書士だけです。

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建設業の許可の申請窓口はどこですか?

大臣許可は道庁(10階)建設部建設管理局建設情報課です。知事許可は各総合振興局(振興局)建設指導課です。 大臣許可・静岡県知事許可ともに、県建設部建設支援局建設業室許可係です。 [大阪府]
建築振興課建設業許可グループです。大阪府咲洲庁舎の1階に申請受付会場が設けられています。受付時間は9時30分?17時です。

[兵庫県]
主たる事務所を管轄する県民局。大臣許可の場合は、兵庫県 県土整備部 県土企画局 契約建設業室です。

[京都府]
大臣許可、京都府知事許可ともに、主たる事務所を管轄する各府土木事務所です。

[和歌山県]
大臣許可、和歌山県知事許可ともに、主たる事務所を管轄する各振興局事務所です。

[滋賀県]
大臣許可、滋賀県知事許可ともに、県土木交通部監理課建設業担当です。

[奈良県]
奈良県知事許可の新規・般特新規・許可換新規・業種追加・業種追加+更新申請は技術管理課建設業指導室です。
奈良県知事許可の更新申請・変更届(決算・技術者等)・廃業届の提出及び大臣許可業者申請書類は主たる営業所を管轄する各土木事務所です。

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申請用紙は、どこで入手できるのですか?

建設業許可申請用紙は各地の建設業協会等で販売されています。 各地の建設事業協同組合で販売されています。 [大阪府]
府のホームページからダウンロードできます。
又は建設業許可申請等の用紙は府庁咲洲庁舎2階の諸用紙販売店で販売しています(営業時間9時30分から17時00分 電話番号06-4703-8420)。

[兵庫県]
兵庫県建設業協会の各支部で販売しています。

[京都府]
https://g-kyoto.pref.kyoto.lg.jp/res/navigation/E40000.do?local_public_body_code=26000からダウンロードできます。

[和歌山県]
各振興局で配布又は県のホームページよりダウンロードできます。

[滋賀県]
「建設業法のあらましと建設業許可申請マニュアル」(滋賀県庁監理課、大津合同庁舎、南部合同庁舎、甲賀合同庁舎、東近江合同庁舎、湖東合同庁舎、湖北合同庁舎、木之本合同庁舎、高島合同庁舎にて配布)を入手してコピーするか、「滋賀県ホームページ」に掲載されています。

[奈良県]
全国統一様式ですので、国土交通省等のホームページでダウンロードしていただくか、社団法人奈良県建設業協会で購入してください。

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建設業許可申請の申請手数料はいくらですか?

知事許可の申請手数料は、新規申請9万円、更新、業種追加はともに5万円です。一般建設業許可のみを持っていて、新たに特定建設業許可の業種追加を申請する場合、あるいは特定建設業許可のみを持っていて、新たに一般建設業許可の業種追加を申請する場合は「業種追加」ではなく「新規申請」となるため、手数料は9万円です。北海道知事許可の場合は北海道収入印紙を貼付します。大臣許可の場合の手数料は、新規申請は15万円、更新、業種追加はともに5万円です。新規申請については登録免許税で、国内の一般の銀行や郵便局等を通じて東税務署あてに納付してください。更新、業種追加については、収入印紙です。郵便局他で販売しています。
(注:近畿地方整備局の場合は、大阪国税局東税務署です。)
大臣許可の場合も、一般建設業許可のみを持っていて、新たに特定建設業許可の業種追加を申請する場合、あるいは特定建設業許可のみを持っていて、新たに一般建設業許可の業種追加を申請する場合は、「業種追加」ではなく「新規申請」となるため、手数料は15万円です。
※なお、申請手続きを行政書士に依頼される場合は、上記の申請手数料とは別に各行政書士が定める行政書士報酬をお支払いただくことになります。その他、建設業許可申請に関するもっと詳細なQ&A、宅建業免許申請に関するQ&Aは、大阪府建築振興課のホームページ上で「よくあるお問い合わせ」として公開されています。
http://www.pref.osaka.jp/kensin/
※ 兵庫県知事許可の場合は、兵庫県収入証紙を貼付します。

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「経営事項審査」(いわゆる「経審」)とは何ですか?

公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、その経営に関する客観的事項について経営事項審査を受けなければなりません。この客観的事項について審査結果を得ることで評点をつけられるのが経営事項審査(いわゆる「経審」)です。
「客観的事項」とは、財務内容、完成工事高、資格者数など複数の審査対象項目のことです。
公共工事の受注を希望する国や地方公共団体などに、指名競争入札等資格審査申請(いわゆる「指名願い」)を提出することで業者登録してもらうわけですが、経審の評点を基に、国や地方公共団体などは建設業者をABCなどのランク付けを行い、そのランクによって発注金額を段階的に分けているのです。つまりランクが高いほど、大きな請負金額の工事が受注できるチャンスがあるということです。ちなみに「経営事項審査申請」は、平成16年4月より「経営規模等評価申請」に名称を変更しました。

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経営規模等評価ではどのような審査が行なわれますか?

具体的には、次のとおり経営状況分析(Y)経営規模(X1、X2)技術力(Z)その他の審査項目(W)について審査されます。また許可行政庁(各府県庁等)は、併せて総合評定の請求があった場合、経営規模等評価(Y、X1、X2、Z、W)の結果と総合評定値(P)を通知します。
1.経営状況分析(Y)
財務の健全性を8の指標によって点数化します。
2.経営規模(X1、X2)
工事種類別年間平均完成工事高・自己資本額・利払前税引前償却前利益の額について点数化します。
3.技術力(Z)
建設業の業種別技術者数・業種別元請完成工事高について点数化します。
4.その他の審査項目(W)
労働福祉の状況・法令遵守の状況・防災活動への貢献の状況・建設業の経理に関する状況・営業年数・研究開発の状況について点数化します。

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経営規模等評価申請の具体的な「手続の流れ」を教えて下さい。

概ね次の手順になります。
建設業者は、決算終了後早い時期に建設業許可の変更届(決算報告)をおこないます。
次に登録経営状況分析機関に経営状況分析を申請します。
登録経営状況分析機関は、経営状況分析(Y)の結果を通知します。
建設業者は、許可行政庁(各府県庁等)に(1)経営規模等評価(Y、X1、X2、Z、W)のみを申請するか、(2)経営規模等評価(Y、X1、X2、Z、W)の申請に併せて総合評定値(P)の請求をします。この場合、登録経営分析機関による経営状況分析(Y)の結果を添付します。 許可行政庁(各府県庁等)は、上記(1)の場合は、経営規模等評価(Y、X1、X2、Z、W)の結果を通知します。上記(2)の場合は、経営規模等評価(Y、X1、X2、Z、W)の結果と総合評定値(P)を通知します。

※経営規模等評価の結果通知書は、1年7ヶ月で有効期間が切れますので、有効期限までに新たな結果通知書を得ておく必要があります。

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経営事項審査の評点をあげる方法があるのでしょうか?

経営事項の点数に関しては複雑な計算がなされています。
ただ、漠然と分析を依頼するのではなくある程度目標をもってシミュレーションをし、それら数値を経営管理の参考にすることが期待されます。
ほんの少しの気遣いで評点アップできる場合があります。

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土木工事業の許可を取得して1年経過し、建築工事業の許可を追加したいのですが、技術者の他に、「ケイカン」という人が新たに必要ですか?

土木工事業の許可を取得したときの「ケイカン(経営業務の管理責任者)の経験によって異なりますので、一概に新たな人を設置(雇用)しなければならないとは限りません。
基本的に、許可を受けようとする業種について経営経験がある場合には5年(イ 該当)、許可を受けようとする業種以外の業種についての経営経験については7年(ロ 該当)必要です。
1.土木工事業の許可を取得したとき、経営業務の管理責任者として5年間の土木工事業の経営経験があったとすれば、建築工事業の許可を取得しようとする場合には、上記の「ロ該当」になりますので、7年の経営経験が必要です。したがって、このまま土木工事業の営業を継続すれば、1年後に経営業務の管理責任者として経験が7年になり、許可要件を充足することになります。
2.とび・土工、大工工事等の土木工事業以外の経営業務管理責任者の期間が7年以上あった場合は、建築工事業の追加が可能です。

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入札や、いろんな申請が電子申請になるということですが、電子申請になると自社で申請しなくてはいけないのでしょうか?

「電子申請」も行政書士の業務ですから、「入札参加資格審査申請(指名願い)」は従来通り我々行政書士にお任せください。
工事の電子入札そのものは、やはり自社で行うのがいいでしょう。
しかし事前に準備しなければならない、ICカードや認証パスワード等の取得手続きは行政書士にお任せいただければよいかと思われます。

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会社に関する新しい法律ができたと聞きましたが?

平成18年5月1日から「会社法」という法律が施行されました。これは従来あった商法第2編、有限会社法、商法特例法などの会社関係の法律を片仮名文語体表記から平仮名口語体にあらため、一本化するとともに会社法制の現代化を図ることを目的として制定されたものです。

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会社法の施行で設立手続きはどう変わったの?

“起業の促進”が改正の目的の一つでもあり、会社の設立がとても容易になりました。主なポイントは、次のとおりです。
1.最低資本金が無くなりました。
法改正前は、株式会社であれば1000万円、有限会社は300万円の資本金が必要でしたが、会社法ではそのような制限が無くなりました。そのため、資本金が1円でも会社ができるようになりました。(定款認証費用、登録免許税は別途必要になります)
2.類似商号の規制が無くなりました。
これまでは、同一市町村区内で同じ名前で同じ事業内容の会社を作ることはできませんでしたが、この規制が撤廃されました。
ただし、全く同じ場所に同じ名前の会社があると混乱するため、同じ本店所在地に同じ名前の会社を作ることはできません。
また、たとえ会社法では登記が可能でも、その他の法律(不正競争防止法や商標法など)に触れるような会社名を付けると、個別法による違反を問われたり、損害賠償請求を受けることがありますのでご注意ください。
3.銀行の保管証明が不要になりました。
これまでは、出資金を銀行に預け、払込金保管証明書を出してもらう必要がありました。この証明書がなければ登記申請ができず、また、証明書の発行に費用がかかりました。しかし、会社法の下では、必ずしもこの証明書は必要ではなく、代表者の作成した「払い込みがあったことを証する書面」で代用が可能になりました。具体的には、払込をした明細部分の通帳コピーを使用しますので、費用や手間が省けます。
4.役員の数が少なくても設立できるようになりました。
これまでは、株式会社には少なくとも取締役3人と監査役1人が必要でした。
そのため、法改正前は株式会社を作るためだけに家族や知り合いに取締役に就任してもらうということが多くありました。
しかし、会社法では取締役1人でも会社が設立できることになりましたので、このような名目上の取締役に就任してもらう必要がなくなりました。
他にも変更点はありますが、そのほとんどは上記のように会社の設立や運営をやり易くするための変更です。
会社を設立しようとお考えの方は、お気軽に行政書士にご相談ください。

3
会社を設立するには、どんな手続きが必要なの?

会社の設立には、大きく分けて3つのステップがあります。
1.まずは、「定款」を作ります。
「定款」とは、出資者が決めた会社ルール(基本的事項)です。実際に会社を運営していくのは取締役になりますので、その取締役が勝手なことをしないように、定款というルールを決めるわけです。会社法では、「定款自治の拡大」が諮られ、従来にない自由な選択肢が可能になったのも特徴です。詳しくは行政書士にご相談下さい。定款は、作成した後に公証役場にて認証を受けなければなりません。認証を受けられる公証役場は、会社の本店を置く予定の都道府県にある役場でなければなりません。

行政書士は電子定款の作成ができます。電子定款を利用すると4万円の印紙代が不要です。
2.出資金を払い込みます
定款の認証が終わると、次は出資金を払い込むことになります。具体的には各出資者が、発起人代表の個人名義の銀行口座に振り込んで行います。
出資者全員の振込みが終われば、その払い込みが記録された銀行通帳のコピーを用意して、代表取締役の証明と一緒に綴じて「払い込みがあったことを証する書面」という証明書を作成します。
3.設立登記をします
本店所在地を管轄する法務局に設立の登記申請をした日が、会社の設立日になります。もし大安の日に設立したい希望がある場合には、その日を申請日として下さい。

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会社を設立するにはいくらくらいの費用がかかるの?

最低限かかる費用は、以下のとおりです。
1.「定款の認証」に、9万数千円かかります。 内訳 ・公証人の手数料に5万円
・定款に貼る印紙代に4万円
・定款の謄本発行手数料が1通につき千円前後

2.登記申請に、登録免許税が必要です。
税額は資本金の1000分の7ですが、これが15万円に満たない場合は、15万円。
定款認証を、電子定款を選択される場合、上記の印紙代4万円が不要になります。電子定款の作成をご希望される方は、電子定款対応の行政書士にご相談ください。

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会社法の施行により、有限会社法が無くなったと聞きましたが、以前からあった有限会社はどうなるのでしょうか?

現在では新しい有限会社は作ることは出来ません。しかし、今までの有限会社は経過措置により「特例有限会社」として存続し、以前の有限会社の規定が適用されます。ただし、会社法上は株式会社とみなされます。
なお、簡単な手続きで株式会社に移行することも可能ですので、どちらを選んでも自由です。

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有限会社のまま残すか、株式会社に変更するか、どちらがよいのでしょうか?

会社により特性が違いますので一概には言えませんが、次の二つの違いを検討して下さい(下表参照)。

特例有限会社 株式会社
役員の任期 定めなし ・原則、取締役2年、監査役4年。
(ただし、譲渡制限会社は最長10年まで可能)
・任期満了後、変更登記要。
決算公告 義務なし 義務あり

その他にも違いがありますので、様々な条件を考慮して決める事になります。一度、お近くの行政書士にお尋ねください。

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これまで、確認会社とか1円会社とか言われていた会社は、どうなるのですか?

中小企業挑戦支援法に基づいた確認会社は、設立5年以内に所定の資本金(株式会社1000万円・有限会社300万円)に増資しないと解散しなければならないという解散事由が、定款に記載され登記されていましたが、現在は、最低資本金が撤廃されたので増資する必要はなくなりました。よって、その部分を削除する定款の変更をし、登記しなければなりません。それにより、会社をそのまま存続させる事が出来ます。

8
これまであった合名会社・合資会社などはどうなるのですか?

新会社法の中では、合名会社・合資会社は、新しく出来た合同会社と共に「持分会社」としての位置付けになりました。大きな変更としては、社員が一人でも会社が存続するようになったり(合名会社)、法人も無限責任社員になれるようになったり(合名会社・合資会社)、株式会社への組織変更が可能になった点などです。

9
最近耳にするLLCやLLPって何ですか?

LLC(通称日本版LLC:Limited Liability Company)は、先述の「持分会社」の中の「合同会社」の事で、簡単に言うと合名会社の社員が有限責任になったようなものです。
また、LLP(Limited Liability Partnership)とは、「有限責任事業組合」の事で、これは新会社法の範囲ではありませんが、合同会社と比較すると解りやすいので、よく併記される事が多いようです。
この二つの共通点は、出資者が有限責任である、組織の内部規律が比較的自由に作れる、登記が必要、などです。相違点としては、会社か組合か、存続期間を定める必要が無いか有るか、一人で出来るか二人以上必要か、そして最大の違いである会社に課税されるか構成員に課税されるか、などが挙げられます(下表参照)。

【LLCとLLPの対比】   LLC LLP (参) 株式会社
組織形態 法人 組合 法人
責任 有限責任 有限責任 有限責任
出資者 1名以上 2名以上 1名以上
定款認証 不要(作成は必要) 不要(契約書を作成) 必要
登記 必要 必要 必要
存続期間 定める必要なし 定める必要あり 定める必要なし
課税 法人課税 構成員課税 法人課税

1
NPO法人とはどのようなものですか?

NPO(‘Non Profit Organization’)法人とは、法的には「特定非営利活動法人」といいます。あの阪神淡路大震災以降の市民活動の高まりを契機に、市民団体にも簡易に法人格を与えようという機運が高まり、平成10年12月1日に施行された「特定非営利活動促進法」に基づく法人のことです。

2
NPO法人格を取得すると、どのようなメリットがありますか?

福祉、環境、まちづくりなどの様々な分野で、ボランティア活動等による社会貢献活動が活発化し、その重要性が認識されてきましたが、それらを行う民間の団体の多くは法人格を持たない任意団体として活動してきました。そのため、事務所を借りたり、銀行口座を開設したり、不動産登記や電話の設置などの法律行為を団体名義で行うことができず、様々な不都合が生じていました。
そこで、この法律により法人格を得ることにより、これらの不都合が解消され、また社会的信用も高まるため、行政や企業などの支援が得やすくなるなど、活動の幅を広げるのに有利となるでしょう。

3
どのような活動に対してもNPO法人格を得ることができますか?

NPO法人は、その法の趣旨から「特定非営利活動」として公益性の高い以下の17分野に活動範囲を限定しています。 1.保険、医療又は福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
4.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
5.環境の保全を図る活動
6.災害救援活動
7.地域安全活動
8.人権の擁護又は平和の推進を図る活動
9.国際協力の活動
10.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
11.子どもの健全育成を図る活動
12.情報化社会の発展を図る活動
13.科学技術の振興を図る活動
14.経済活動の活性化を図る活動
15.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
16.消費者の保護を図る活動
17.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
但し、これら17分野に直接該当しないとしても、活動の結果が上記のいずれかに貢献するようなものであれば、認められる可能性は充分にあるようです。

4
NPO法人となるにはどうすればいいですか?

法律に基づいてNPO法人となるには、次のような要件を満たすことが必要です。
1.特定非営利活動(活動範囲が上記の17分野)を行うことを主たる目的とすること
2.営利を目的としないものであること(利益を社員で分配しないこと)
3.社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
4.役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
5.宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと
6.特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと
7.暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと
8.10人以上の社員を有するものであること(うち理事3人以上、監事1人以上を含む)
また、所定の設立手続(申請)から所轄庁(都道府県知事等)の認定等の決定を受けるまでに要する期間は、申請書の受理後4ヶ月以内とされています(内閣府国民生活局)。
その他、設立手続の詳しい内容については、お近くの行政書士にお尋ねください。

5
中間法人とはどのようなものですか?

中間法人とは、公益を目的とせず、かつ営利を目的としない社団であって、中間法人法により設立されたもの、と定義されます。
従来から、公益を目的とし、かつ営利を目的としない団体には財団法人・社団法人・NPO法人などの公益法人があり、他方で営利を目的とする団体は株式会社などの営利法人となることができました。しかし、この中間に存在する、公益も営利を目的としない団体 、例えばマンションの管理組合、同窓会、PTAなどは各種個別の法律(例:マンション法に於ける管理組合法人等)によって法人格を取得する道があるほかは、法人格を取得することができないという状況でした。
こうした各種団体の活動の促進、対外的な地位の向上という観点から、平成14年4月1日施行の「中間法人法」により、法人化の道が開かれましたが、現在では新制度に移行しております。詳しくはこちらをご覧ください。

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あたらしい社団・財団法人制度の概要を教えてください。

いわゆる公益法人制度改革といわれる制度改正によって、従来の公益法人や中間法人などの制度を一本化した上で、法人格の取得と公益性を切り離しました。
その結果、剰余金の分配を目的としない社団・財団であれば、公益性の有無にかかわらず法人格の取得を認め(これを一般社団・財団法人といいます)たうえで、従来の公益法人のように公益を目的とする団体に対しては別途公益性の認定手続を経て税優遇を受けることが可能(公益社団・財団法人といいます)という制度になっています。

7
一般社団・財団法人とはどのようなものですか?

一般社団・財団法人とは、剰余金の分配を目的としない社団(財団)について,その行う事業の公益性の有無にかかわらず,準則主義(登記)により簡便に法人格を取得することができることとするものであり、平成20年12月1日より設立できるようになったものです。
一般社団法人は、公益性の有無は問われないので、公益も営利を目的としない団体、例えばマンションの管理組合、同窓会、PTAなどが登記によって法人格を得られるようになります。この一般社団・財団法人は、従来の中間法人の役割を受け継ぐものとなっています。

8
従来の社団・財団法人はどうなるのでしょうか。

従来の社団・財団法人は、移行措置によって「特例民法法人」として存続し、権利義務に関しても実質的には従来と変わりません。ただし、一般社団・財団法人法の施行日から5年間となる平成25年11月30日までに、一般社団・財団法人、または公益社団・財団法人へと移行の申請をする必要があります。移行しなかった法人は,上記の日付をもって解散したものとみなされますので注意が必要です。

9
従来の中間法人はどうなるのでしょうか。

中間法人法は、一般社団・財団法人法の成立と同時に廃止となり、既存の中間法人は有限責任中間法人と、無限責任中間法人との区別によって、以下のような移行措置が講じられています。

○有限責任中間法人について
既存の有限責任中間法人は、何らの手続もなしに当然に一般社団法人となるとされています。ただし、登記上の名称については当然に変更されるわけではなく、名称を変更するための定款変更をし、登記をする必要があります。

○無限責任中間法人について
既存の無限責任中間法人については、総社員の同意と債権者保護手続・登記等を経て一般社団法人に移行する必要がありましたが、この手続は一般社団・財団法人法の施行日から1年以内に行う必要があったため、現在はその期限をすぎています。この期限が過ぎた無限責任中間法人は解散したものとみなされます。

1
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律はなぜ必要なんですか?

日本の中小企業は日本経済の基盤ですから、経営承継は雇用の確保や地域経済活力維持の観点からきわめて重要です。
しかしながら、現状は承継について十分な準備をしている中小企業は少なく、中小企業の持つ貴重な技術力やノウハウの散逸も懸念されています。
そこで円滑な経営承継を支援するために相続時の遺産分割や資金需要、税負担の問題等への総合的な支援策が講じる必要から、平成20年10月1日に施行された中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律が施行されました。

2
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の中身はどのようなものですか?

この法律では中小企業の円滑な経営承継を図るうえで、 3つを大きな課題として捉え、その課題に対応するべく3つの制度の創出がされます。
?民法遺留分の制約を1つ目の課題として捉え、「遺留分に関する民法の特例」制度を導入しました。
?代表者交代による信用不安を2つ目の課題として捉え、「承継に関する金融支援」制度を導入しました。
?事業承継による多額の相続税負担を3つ目の課題として捉え、「課税の特例」制度を導入しました。

3
各制度はすべての企業に対象になるのですか?

各制度の支援対象範囲は資本金、従業員数及び業種に応じて定義された中小企業に該当する必要があります。

具体的には次のとおりです。 製造業その他 資本金3億円以下 または 従業員数300人以下
卸売業 資本金1億円以下 または 従業員数100人以下
小売業 資本金5千万円以下 または 従業員数 50人以下
サービス業 資本金5千万円以下 または 従業員数100人以下
政令で定める業種 政令で別途定める   
なお、中小企業に該当した事業所に対して、各制度は以下の分野につき適用があります。
?遺留分に関する民法の特例は法人の株式が対象
?承継に関する金融支援は個人・法人が対象
?課税の特例は法人が対象

4
遺留分とは何ですか?

相続・遺言のQ&AのQ21をご覧ください。

5
遺留分に関する民法の特例制度はどのようなものですか?

この制度では大きく分けて次の2つの制度が導入されています。
1.遺留分算定基礎財産から除外できる制度
?後継者が引き受けた株式が遺留分により他の相続人に渡ると、経営を安定できる株式が持てなくなる危険性があるため、これを事前の承諾で除外できるようになりました。
2.贈与株式の評価額を合意した時点の評価に固定できる制度
?株式を相続開始時の価額で計算すると、後継者の貢献により何もしていない他の相続人の相続価額も増加するため、承継者のモチベーションを下げないように評価額を合意時点で固定できるようになりました。

6
遺留分に関する民法の特例制度が適用される条件はなんですか?

制度の適用を受ける条件は大きく次の3点です。
1.会社が特例中小企業に該当する
?特例中小企業とは、Q3に該当する事業所のうち、一定期間以上継続して事業を行っているものとして、経済産業省令で定める用件に該当する会社で、いわゆる上場会社と、いわゆる店頭公開株式の発行会社を除いた会社のことです。
2.特例中小企業の株式等のうち一定の条件を満たした上で、旧代表者から後継者が取得した株式である
?旧代表者には事業承継前の現経営者も含まれますので、代表取締役を譲る前の株式譲渡でも対象となります。また、後継者については第三順位の血族相続人以外の推定相続人であるという条件があり、具体的には子、孫などが挙げられます。(つまり兄弟姉妹は対象外です)さらに、株式等とは、特例中小企業の株式又は持分をいいますが、種類株式等で完全に議決権がない株式は対象外となります。
3.後継者は、次の条件すべてを満たしている必要があります。
?旧代表者の推定相続人(子や孫など)であること
?旧代表者から、該当する特例中小企業の株式等を、贈与を受けた者であること
?上記の贈与行為により、当該特例中小企業の総株主の議決権の過半数を有すること
?当該特例中小企業の代表者であること

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遺留分に関する民法の特例制度が適用を受けたい場合の手続はどのようなものですか?

制度の適用を受けるためには大まかに次の手続を順に行う必要があります。
1.推定相続人すべての書面による合意が必要です
?推定相続人全員で遺留分に算入しない合意や遺留分の算定価額を合意時の価額に固定する合意を行い、その内容を書面にします。
2.経済産業大臣の確認が必要です
?合意の内容を経済産業大臣に対して確認の申請を行います。
?経済産業大臣は行う行為が経営の承継の円滑化を図る目的かどうか等の判断を行います。
3.家庭裁判所の許可が必要です
?経済産業大臣の確認を受けた後、合意内容の効果を発生させるために家庭裁判所の許可が必要なため、家庭裁判所に対し申立を行います。
なお、上記の手続はそれぞれ経済産業大臣の確認申請は合意後1ヶ月以内に、家庭裁判所の許可申立は経済産業大臣の確認後1ヶ月以内に行う必要があります。

1
取締役3名、監査役1名の株式会社ですが、役員の数を少なくすることができますか?

取締役を1名又は2名にすることもできますし、監査役を置かないこともできます。そのときは、定款中の機関に関する規定を株主総会で変更するとともに登記の記録に関する変更も必要です。
たとえば、取締役を1名又は2名にしたときは、取締役会を設置しない会社になります。
法務局では、平成18年5月1日付けで、「取締役会設置会社に関する事項」及び「監査役設置会社に関する事項」の欄が追加され、それぞれ「取締役会設置会社」、「監査役設置会社」の登記が職権でなされています。これに該当しなくなったときは、各々3万円の登録免許税を支払って抹消する必要があります。

2
役員の任期は最長何年ですか?長く変更できますか?

会社法の施行日に在任中であった役員は、商法に規定された取締役2年、監査役4年の任期が適用されますが、株主総会で取締役の任期を3年?10年(最長10年)と定款変更の決議をすることで、その会社の実情にあった任期を採用することができます。
任期をかなり長くすると、役員変更の手続き費用の軽減につながるというメリットがある一方で、任期満了の年を忘れてしまったり、任期途中で解任した取締役からの残りの期間の役員報酬の請求問題の発生といったデメリットが指摘されていることも考慮する必要があります。

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定款を会社法施行前のままで放置したとき、何か不都合はありますか?

作成された定款が、商法の施行下で作成されたものである場合、会社法との対応を整備するとしたら、多くの条文につき、変更決議を余儀なくされます。しかしながら、一般的な考え方としては、特別な変更をしなくても現行法に対応したものとして、読み替えされるので、そのままでもよいとも言われています。一方、定款提出先との関係で、登記されている表現(とりわけ職権で変更された箇所)と定款の表現との一致を求められる場合もあります。各社の状況との関係で具体的に判断することになります。
役員の方にとって、定款の不都合を具体的に検討されるときも、役員の方がどのような立場にあり、どのような利益を想定されているかによって回答が異なります。また定款が各社で異なるため一概には言えません。
ここでは、仮に、役員の解任のケースをご紹介しておきましょう。これまで、取締役を解任するには、株主総会の特別決議が必要でした。そこで、取締役が発行済株式の議決権の3分の1を上回る議決権を保有することで、解任決議を阻止してきたような場合がありました。ところが、現行法では、普通決議で取締役を解任することができるようになりました。取締役が解任されることがないようにしたいのであれば、発行済株式の議決権の2分の1を上回る議決権に相当する株式を保有するか、定款を変更して「取締役を解任するには、株主総会の特別決議を要する。」のような加重規定を設けることが有効です。

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発行済株式の全部を持っている経営者ですが、相続を巡って家族間の争いや会社と家族の間で問題にならないようにしたいと思っています。私が現役のうちにやっておい方がよいことがあれば教えてください。

後継者を誰にするかによって、具体的な手当ては異なってきますが、一般的な考え方をお話します。

相続予定者が全員会社経営に関与することは、比較的少ないと思います。そこで、どなたかひとりを後継者とするという場合には、その方に発行済株式の全部を相続させる旨の公正証書遺言を残すことが考えられます。また、種類株式を活用する方法もあります。定款を変更して、議決権制限株式(無議決権株式も可能)を発行したり、発行済の普通株式の一部を議決権制限株式に変更しておきます。後継者の方には普通株式、その他の方には議決権制限株式を相続させることで、後継者以外の家族と会社との関係に距離をおくことも考えられます。さらに、「当会社は、相続、合併その他の一般承継により当会社の譲渡制限の付された株式を取得した者に対し、当社株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。」という定款の規定を新設することで、株式の分散を防ぐという手当も有効です。

5
取締役1名の有限会社ですが、定款変更など必要ですか?

会社法の下で株式会社(「特例有限会社」といいます。)として存続します。ただし商号は「有限会社」をそのまま使用することとなります。特段の手続は必要ないとされていますが、有限会社の定款に「議決権の数」「利益の配当」「残余財産の分配」などに特別の定めがあるときは、所定期間内に変更しておかなければなりません。

6
取締役2名の有限会社ですが、定款では取締役の任期を定めていません。会社法の下では、最長10年の任期となるのですか?

会社法に定められた取締役の任期の制限は、特例有限会社には適用されませんので、これまで同様、任期の制限はありません。

7
決算公告の義務はありますか?

特例有限会社には適用されませんので、これまで同様、決算公告の義務はありません。

8
特例有限会社が株式会社に移行するには、どうしたらよいですか?

定款を変更して、「株式会社」の文字を含む商号に変更します。定款上は商号変更ですが、法務局では特例有限会社の解散の手続と商号変更後の株式会社設立の手続を同時にすることになります。

9
同一市区町村内で、類似商号の会社がすでにあっても、設立できるようになったようですが、同じビルで同じ本店所在地の株式会社は設立できますか?

同一住所で同一の商号の会社がすでに設立されているときは、会社目的の如何に関わらず、その商号を採択することはできません。

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取締役1名の株式会社を設立する予定です。有限会社法のもとでは、代表権のある取締役が一人のときは、単に「取締役」とされていたようですが、現行の会社法でも同様ですか?

会社法では、代表権のある取締役を「代表取締役」とすると規定されていますので、1名でも「代表取締役」とされます。

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取締役2名で取締役会を置かない株式会社を設立する予定です。株式の譲渡制限は、定款でどのように定めたらよいでしょうか?

株式の譲渡制限については、商法のもとでは「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を受けなければならない。」のような定款の規定がよくありました。取締役会を置かないので、「当会社の株式を譲渡するには株主総会の承認を受けなければならない。」と定めてもよいのですが、株主総会の招集手続を考えれば、以下のように定めた方が事務の効率の面からは、よいかと思われます。

「当会社の株式を譲渡するには取締役の承認を受けなければならない。」

12
金融機関の払込金保管証明については、現在必要ですか?

募集設立については、金融機関の払込金保管証明書の交付を受ける必要がありますが、発起設立では、設立時代表取締役が発行する払込証明書(通帳の写しを添付)により行うことができます。

1
企業・団体・自治体等(以下「企業等」と表示)にとって「知的資産」とは何ですか?

企業等の競争力の源泉となる「その企業等独自の魅力や強み(無形の資産)」をいいますが、具体的には、以下のものがあります。わかりやすいように3つに分けてご紹介していますが、3つすべてをまとめた概念が「知的資産」です。
知的資産
経営理念、人材、技術力、品質のこだわり、商品・サービスのこだわり、ネットワークの強み、社員教育システム、仕入れの強み、販売チャネルの強み等
知的財産
発明・考案・著作物・新品種その他の知的創作、ブランドや商号に蓄積された信用、営業秘密、ビジネスモデル等
知的財産権
(権利化されたもの)
産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)、著作権、育成者権、半導体回路配置利用権等

2
「知的資産経営」とは、どういうものですか?

「知的資産経営」とは、財務諸表(PL、BS等)には表れない「企業等の無形の魅力、強み(知的資産)」を把握し、利害関係者であるステークホルダー(取引先、金融機関、株主、顧客、従業員、就職希望者等)に見える形で開示、もしくはステークホルダー向けに活用し、ステークホルダーからの信頼を得て経営の発展に役立てる経営のことです。

企業、特に中小企業の競争力は、財務データのように表面に見えるものだけでなく、その会社が有している「無形の魅力、強み(知的資産)」が縁の下の力持ちのように支えていることが多いのです。
しかし、企業が有している知的資産のなかでも、権利化された知的財産権以外の知的資産は、外部からは見えにくく、内部からもその存在が意識されず、これを積極的に経営資源として活用しなければ、「宝の持ち腐れ」になってしまいます。

そこで、そういう知的資産を積極的に外部に見える形にして、意識的に経営資源として活用する経営方法を「知的資産経営」と呼んでいます。
「知的資産経営」は、いまある「無形の魅力、強み(知的資産)」を意識し、活用するものですから、今日からでも取組むことができるものです。
ですから、「知的資産経営」は、特に中小企業に適した経営手法であるといえます。

3
「知的資産」は、どの中小企業にもいくつかはありそうですね。そうすると「知的資産経営」は、どの中小企業も無意識に取り組んでいるということですか?

Q1、Q2でご説明しましたように、少なくとも何らかの「知的資産」は、どの中小企業にもあるということができます。ところが、「知的資産」を保有する中小企業がすべて「知的資産経営」を行っているかといえば、必ずしもそうではありません。

まず、知的資産の存在を意識し、それを積極的に経営資源として活用することが必要です。そのためには知的資産を外部(ステークホルダー)に見える形にして開示します。

すなわち、知的資産を保有していても、「無形の魅力、強み」を何らかの形で活用し、ステークホルダーからの信頼を得て経営の発展に役立てることができていないときには、知的資産経営を行っているということはできません。言い換えれば、知的資産をその企業の価値創造につなげているときに知的資産経営を実践しているということになります。

4
中小企業が知的資産経営を行う目的が、「中小企業の『無形の魅力、強み』を開示し、ステークホルダーからの信頼を得て経営の発展に役立てること」であるならば、その効果やメリットは何ですか?

以下のような経営の発展に役立つ効果・メリットが期待されます。
1.企業価値が外部から見えやすくなり、企業価値が高まる。
2.新たな販売先の獲得
3.技術力が評価され、開発依頼、業務提携の拡大
4.金融機関関係先の評価を得た資金調達の円滑化
5.経営理念の従業員への浸透、社員教育への活用
6.リクルーティングへの活用(わかりやすい魅力と強みの開示)
7.事業承継への活用

5
「知的資産経営報告書」とは、どのようなものですか?

知的資産経営を開示するためのツールです。
経営理念、業務概要、沿革の他に無形の強みや魅力の内容、過去から現在までの知的資産を活用した活動内容、現在から未来に向けた知的資産を活用した事業計画が開示されることが多いです。また、強みや魅力を今後いかに伸ばすのか、経営課題の解決や克服にいかに取り組むか等も必要に応じて開示されます。

近年、政府の中小企業支援政策として「知的資産経営」の導入が積極的に推進され、「知的資産経営報告書」を作成し公表する企業が増えつつあります。しかし、まだ全国的に普及するまでには至っていません。今、知的資産経営報告書を開示している中小企業は、それだけ先進的・積極的な経営姿勢の企業として高く評価されています。

参考(経済産業省「知的資産経営ポータル」)
http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/index.html

6
「知的資産経営報告書」を当該中小企業が自ら作成する場合と行政書士等の作成支援者に協力を依頼する場合とを比較したときに、どのような違いがありますか?

本来、知的資産経営報告書は企業の知的資産経営の成果を開示するものですから、その企業自ら作成することが望ましいといえます。
しかし、行政書士等の外部専門家が、作成支援者として関与したときには、以下のようなメリットがあります。

1.経営者が気づかない知的資産の抽出
2.第三者の視点による客観性公平性の確保
3.文書化の専門家が提供する分かりやすさ
4.論理性、ストーリー性の確保
5.信頼性につながるKPIの掘り起こし
6.人的資産の構造資産化の支援
(人的資産:個人の優れた能力等をいいますが、退職時には持ち出されます。)
(構造資産又は組織資産:組織や会社に属する資産、退職しても会社に残ります。)
7.公開性と秘密性に関する提案
8.営業秘密保護に関する具体的提案
(不正競争防止法による保護、公証制度の活用等)
9.今後の経営課題を明らかにし、検証・改善のご支援
10.共感を生む報告書、感動が伝わる報告書となるような工夫

※KPI(Key Performance Indicators):主要な業績評価の指標
販売、財務、サービス、技術等のレベルを示すための指標
処理時間、稼働率、業務の効率、品質を客観的に表現する数値化された指標等

7
「知的資産経営報告書」作成支援以外に行政書士が関与する「知的資産関連業務」にはどのようなものがありますか?

1.企業価値の創造支援その他知的資産経営コンサルティング
2.有用な技術情報・業務手順の文書化及び秘密管理、社員教育サポ?ト
3.特許規程・職務発明規程、著作権規程、営業秘密管理規程等作成
4.研究開発・実用化開発・事業開発のための事業計画書作成
5.知的財産権譲渡契約書、知財ライセンス契約書、商品化権契約書、共同開発契約書、秘密保持契約書、業務提携・販売提携契約書、フランチャイズ契約書等
6.著作権登録申請代理(著作権譲渡の登録、第一公表日・発行日登録、実名登録、プログラムの創作年月日登録等)
7.産業財産権に係る移転、表示変更登録申請代理
8.特許・実用新案・意匠権に係る専用・通常実施権登録、商標権に係る専用・通常使用権登録申請代理
9.電子公証を利用した先発明・先使用の証明、ノウハウの秘密管理等
10.植物新品種登録申請代理(品種登録、移転登録、利用権登録等)
11.半導体回路配置利用権登録申請代理
12.知的財産権に関連する警告書・通知書等(内容証明嘱託代理含む)

1
【遺言】遺言を書きたいのですが、どんな書き方でも良いのですか?

通常、人が死亡すると、その人の遺産は法定相続人(民法に定められた一定の範囲の親族)が相続するのが一般的ですが、自己の死後、特定の人に遺産を相続させたい場合、あるいは、誰がどんな割合で遺産を相続するかを指定して、万一、相続人の間で相続争いが起こらないように備えたい場合は、自己の意思を文書にして作成しておくのが遺言です。
ただし、民法により定められた方式で書かれていなければ、法的に効力のある(有効な)遺言書とはいえません。(民法960条)

2
【遺言】子どもでも遺言は書けるのですか?

満15歳になれば、遺言をすることができます。(民法第961条)

3
【遺言】夫婦二人で、死後お互いにすべての財産を残す、との1通の遺言を書こうと思っていますが可能ですか?

遺言は、ひとりひとりの意思によって個別に作成される必要があるので、二人以上の者が同一の証書ですることができません(民法第975条)。夫婦であっても共同で一つの遺言はできません。

4
【遺言】遺言にはどんな種類があるのですか?

民法で定められた遺言で、普通方式の遺言には次の3種類があり、よく利用されるのは(1)自筆証書遺言と(2)公正証書遺言です。どの方式であっても、それぞれ民法で定められた形式を守らないと無効となります。
1.自筆証書遺言(民法第968条)(Q7・Q8参照)
2.公正証書遺言(民法第969条)(Q9?Q11参照)
3.秘密証書遺言(民法第970条)

(参考)特別方式の遺言は、以下の方式があります。
1.危急時遺言:疾病などで死亡の危急が迫っているため署名などできない者が遺言をしようとするとき、その趣旨を口頭で伝え証人が書きとめる方式。三人以上の承認の立会いが必要。(民法第976条)
2.隔絶地遺言:伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にいる者が遺言書を作る場合、警察官一人と証人一人以上の立会いが必要。(民法第977条)
3.船舶中遺言:船舶中にある者が遺言書を作る場合、船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いが必要。船長又は事務員一人及び二人以上証人の立会いが必要。(民法第978条)
4.船舶遭難者の遺言:船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、口頭で遺言をすることができる。船長又は事務員一人及び二人以上証人の立会いが必要。(民法第979条)

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【遺言】遺言には何を書いてもいいのですか?

民法上は以下の事項について書くことが出来ます。これ以外の事項を書いても良いですが、法的な拘束力はありません。
1.遺産相続に関する事項
?推定相続人の廃除、廃除の取消し(民法第893条、第894条)
?共同相続人の相続分の指定又はその委託 (民法第902条)
?特別受益者の受益分の持ち戻し免除(民法903条第3項)
?遺産分割の方法の指定又はその委託、遺産分割の禁止(民法第908条)
?共同相続人の担保責任の定め(民法第914条)
?遺言執行者の指定又は指定の委託(民法第1006条1項)
2.財産処分に関する事項
?包括遺贈・特定遺贈(民法964条)
?遺留分減殺方法の指定(民法第1034条)、寄附行為(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第158条2項)信託の設定(信託法第3条2号)
3.身分行為
?認知(民法781条2項)
?未成年者の後見人の指定(民法第839条)
?未成年者の後見監督人の指定(民法第848条)
4.その他
?祭祀承継者の指定(民法第897条1項)

6
【遺言・相続】同居して面倒を見てくれている子により多くの財産を相続させたいと思うのですが、可能でしょうか?

その旨の遺言書を書くことで可能になります。遺言によって法定相続分(Q21)とは異なる相続分を指定することができます。(民法第902条、903条3項)但し、他の子の遺留分(Q35)額を超えた相続分を指定した場合には、その他の子らに遺留分を請求する権利が発生しますので、注意が必要です(民法第1028条)

7
【遺言】自筆証書遺言の書き方は? 他人の代筆や、パソコン等で作成しても良いのでしょうか?

自筆証書遺言は、その全文、日付及び氏名を自筆で書いた上でし、これに印(認印でも良い)を押さなければなりません。よって他人の代筆によるものは無効です。パソコン等の使用は、遺言者の真意を判定できないので無効とされています(民法第968条1項)。

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【遺言】自筆証書遺言を書き間違えたので、訂正はできるでしょうか?

遺言に変更を加える場合は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して、特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じません(民法第968条2項)。形式に間違いがあると、変更の効力が認められない場合もありますので、間違えた場合ははじめから書き直すか、専門家に相談してから訂正を行ってください。

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【遺言】公正証書遺言はどのように作りますか?

公正証書遺言は、公証人に対して遺言者が遺言の内容を伝え(「口授(くじゅ)」といいます。)、それに基づいて公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめて作成します。これを公証人が遺言者及び立ち会っている二人の証人に読み聞かせ、又は閲覧させて、内容が正確かどうか確認し、3人が署名捺印することで完成します(民法969条)。公証人は全国各地にある公証役場で執務しています。

(参考)口がきけない方、耳が聞こえない方が遺言書を作成する場合
平成11年の民法改正により第969条の2が追加され、口がきけない方が遺言書を作成する場合、遺言者の通訳人の通訳による申述又は自書を、上述の「口授」に代えなければならないことになりました。耳の聞こえない方に対しても、公証人は、筆記した内容を遺言者に伝えて、上述の「読み聞かせ」に代えることができます。

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【遺言】遺言者が寝たきり等で公正証書遺言を作成するために公証役場まで出向けない場合は、どうしたらよいでしょう?

遺言者の依頼によって、公証人に入院先の病院や自宅に出張してもらうことができます。
ただし、手数料に公証人の出張経費が加算されます。

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【遺言】公正証書遺言を作るには証人が二人必要と聞きましたが、どんな人がなれるのですか? 適当な方が見つからない場合はどうすればいいですか?

証人は、「未成年者」、「推定相続人及び受遺者と、これらの配偶者及び直系尊属」、「公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人」以外であれば誰でもなれます(民法974条)。もし、上記の方が証人として署名押印した場合はその遺言書は効力がありませんので(無効)、ご注意下さい。
証人が見つからない場合は、公証役場で、もしくは行政書士等の専門家に、ご相談ください。

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【遺言】遺言執行者とは何でしょうか? どんな役割をしますか?

遺言執行者とは、遺言者によって指定された、又は家庭裁判所によって選任された者で、遺言書の内容を実現する責務を負った者です(民法第1006条・1009条・1010条)。職務は、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為です。(相続財産目録の作成、相続財産の管理、遺贈の履行、遺言認知の届出等)。なお、職務遂行にかかった費用、報酬等は、相続財産から支出されます。

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【遺言】遺言は、一度書いたら書き直せないのですか?

何度でも書き直すことができます。新しく作成した遺言で前に書いた遺言を撤回することも出来ます(民法第1022条、第1025条)。また、被相続人の死後、複数の遺言書が見つかった場合、日付の最も新しいものが有効となります。但し、生前より、後で問題が起きないように、新しい遺言書を作成した時点で、古い遺言書を破棄する方がいいでしょう。

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【遺言】本人が亡くなった後、遺言書が見つかった場合、遺族は何をすればよいのでしょうか? 封をされている場合勝手に開けて見てよいのですか?

遺言書が見つかった場合、保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。(民法1004条1項)。「検認」とは遺言書の現状を確認し証拠を保全する手続です。但し、これを経たからといって遺言の内容が有効と確認されたものではないとされています。なお、公正証書遺言の場合、この手続は必要ありません(民法第1004条2項)。
また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができないことになっています。(民法第1004条3項)。

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【相続】「相続」とは何ですか? 「被相続人」「相続人」という言葉を良く聞きますが、どういう意味ですか?

「相続」とは、ある人が死亡したとき、その人の財産に属した一切の権利義務を受け継ぐことを言います。ただし、その人の一身に専属したものを受け継ぐことはできません(民法第896条)。死亡した人を「被相続人」、その所有していた財産を「相続財産」、その権利義務を受け継ぐ人を「相続人」と言います。相続人となれる人は、民法により、その範囲が定められています。

16
【相続】相続と遺贈の違いは何ですか?

相続とは、被相続人の死亡後、相続人に対し、遺言による相続分の指定(民法第902条)、あるいはそれがなければ法定の割合(民法第900条)に基づき、被相続人の財産に属した一切の権利義務を引き継がせることを言う(民法第896条)のに対し、遺贈とは、遺贈者の遺言により、受遺者にその財産の全部又は一部を、包括的にまたは特定して贈与すること(民法第964条)を言います。
どちらも人の死亡を原因とする点(民法第882条、第985条)と、遺留分を侵害することはできない点(民法第1028条、第964条)においては同じです。
違う点は、相続における対象者は相続人ですが、遺贈の対象者は、特に特定されていません。従って、相続人以外の人に財産を遺したいのであれば、遺言により遺贈をすることが必要となります。

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【相続】相続人になる人は決まっているのですか?

相続人となるべき方及びその順位は法律で決められています。
配偶者は、常に相続人となります(民法第890条)。内縁の妻は、対象となりません。

第1順位 子
常に相続人となります(民法第887条1項)。養子も相続人です(民法第809条)。養子(普通養子)は、実親と養親の双方から相続を受ける権利を有します。子には、胎児を含みます(民法第886条)。非嫡出子も相続人ですが、相続分は嫡出子の2分の1になります。(民法第900条4号但書)。
第2順位 直系尊属
被相続人の父母、祖父母等を言います。子がいない場合に相続人となります(民法第889条1項)。被相続人に親等が近い者が優先します。
第3順位 兄弟姉妹
子供も直系尊属もいない場合のみ相続人となります(民法第889条1項)。

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【相続】相続人であるのに、相続ができない場合はありますか?

推定相続人とは、現時点で相続が発生した場合、法定相続人となり得る者のことを言い、その全員が実際に相続人になれるわけではありません。推定相続人が相続権を失うのは以下の場合です(民法第891条、第892条、第893条)。
1.相続人の死亡
2.相続欠格(Q20)
3.推定相続人の廃除(Q20)

19
【相続】相続を拒否することができますか?

相続が始まった後、相続の放棄、すなわち相続人の意思で相続しないことができ(Q27)、その場合、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三ケ月以内にしなければなりません(民法第915条)。放棄をすれば、その直系卑属に代襲相続権は発生しません。

20
【相続】相続欠格、廃除とは何ですか?

相続欠格とは、推定相続人について、相続をさせることが社会通念上相応しくない事情がある場合、法律上当然に相続人の資格を失わせる制度です。民法で定めるのは、故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡させたために刑に処せられた者や、詐欺・強迫により被相続人が遺言をし、撤回し、取消し、または変更することを妨げた者、相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠蔽した者などは、相続人となることができません(民法第891条)。
廃除とは、被相続人が推定相続人に相続をさせることを望まない時、家庭裁判所に請求してその者の相続権を失わせる制度です。推定相続人が被相続人に対して虐待・重大な侮辱を与えるか、推定相続人に著しい非行があったことが必要です(民法第892条)。

21
【相続】法定相続分とはどのようになっていますか?

昭和56年1月1日以降生じた相続については、法定相続分は以下の通りになります(民法第900条)。
1.子及び配偶者が相続人であるときは、配偶者に2分の1、子は残りの2分の1を人数で均等に分けます。但し、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1となります。
2.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者に3分の2 、直系尊属は残りの3分の1を人数で均等に分けます。
3.配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者に4分の3 兄弟姉妹は4分の1を人数で均等に分けます。但し、片親のみが共通(半血)である兄弟姉妹の相続分は、両親が共通(全血)である兄弟姉妹の半分です。
4.子のみが相続人である時は、人数で均等に分けます。但し、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1です。
5.直系尊属のみが相続人であるときは、人数で均等に分けます。
6.兄弟姉妹のみが相続人であるときは、人数で均等に分けます。但し、片親のみが共通(半血)である兄弟姉妹の相続分は両親が共通(全血)である兄弟姉妹の半分です。

22
【相続】夫(妻)が亡くなったのですが、私はどれだけの財産を相続できるのですか? 遺言書はありません。

1.相続人があなただけの場合はすべての財産を相続できます。
2.相続人があなたとお子様の場合は、あなたがすべての財産の半分を相続できます。
3.相続人があなたと直系尊属の場合は、あなたはすべての財産の3分の2を相続できます。
4.相続人があなたと兄弟姉妹の場合は、あなたはすべての財産の4分の3を相続できます。(昭和56年1月1日以降生じた相続の場合、民法第900条)

23
【相続】本人が死亡した時点で、すでに子が死亡しており、子の子(本人にとって孫)は相続できるのですか?

相続人である子又は兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡し、又は欠格・廃除により相続権を失った場合において、その者の子が代わって相続人になることを、代襲相続と言います(民法第887条2項、第889条2項)。 代襲される者を被代襲者、代襲する者を代襲者と呼びます。
相続人の直系卑属(子)の場合は、どこまでも代襲します(再代襲・再々代襲、民法第887条3項)。兄弟姉妹の子は代襲相続できますが、その子の子までには代襲相続権はありません(民法第889条2項)。
代襲者の相続分は、被代襲者と同じです。被代襲者が相続を放棄した時、代襲者は相続はできません。代襲者が複数の場合、被代襲者の相続分を代襲相続人の人数に応じて均等に分けます。

24
【相続】相続の対象となる財産には、どのような物があるのでしょうか?

被相続人の財産に属した一切の権利義務(民法第896条)をいい、積極財産としてのプラス財産(現金や不動産など)と、消極財産としてのマイナス財産、つまり債務(借金など)があります。厳密には権利義務とは言えないものであっても、財産法上の法的地位と言えるものならば相続の対象となり得ます。(例:占有者の善意悪意、保証人・物上保証人としての債務、契約申込者の地位など。)

25
【相続】相続はいつ開始するのですか? 相続が開始した後、死亡した人の財産はどのように管理され、処分されるのでしょうか?

人の死亡時から、相続は開始し(民法第882条)、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を受け継ぎます(民法第896条)。この場合の死亡とは、自然死、事故死の他に、失踪宣告などにより、法律上死亡したとみなされる場合も含まれます。
相続人が複数人いる時には、被相続人の相続財産(債権債務)は、遺産分割協議が行われる等によって、個々の相続人への具体的な帰属が決まるまでは共同の管理のもとに置かれます。
その間は、保存行為・変更行為・その他の管理行為ができます。管理の費用は、相続財産の中から支払います。(民法第885条)
具体的な手続きについては、Q28をご覧下さい。

26
【相続】相続の承認とは、どういう効果を持つものなのですか?

相続の承認とは、相続人が被相続人の権利義務を引き継ぐことを言い、単純承認、限定承認の2種類があります。
1.単純承認(民法第920条)
相続人が被相続人の権利義務をそのまま引き継ぐことです。何ら手続きは必要ありません。なお、相続人が民法で定められた行為を行った場合、自動的に単純承認したとみなされる場合がある(法定単純承認・民法921条)ので注意が必要です。
2.限定承認(民法第922条)
相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認することです。家庭裁判所への申し立てが必要です。相続人が数人いるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができます。(民法第923条)相続財産中債務が多い場合にはこの方法をとることもあります。

27
【相続】相続の放棄とは、どういう効果を持つものなのですか?

相続の放棄とは、民法で決められた方式に従って行われる、相続財産を一切承継しない、すなわち相続人にならない旨の意思表示をいいます。(民法第938条・第939条)
原則として、熟慮期間としての「3ヶ月」以内に、家庭裁判所に放棄の申述をし、本人自らの意思であることの確認を受けることで効力が生じます。

(参考)
ただし、熟慮期間経過後に、被相続人の相続財産が債務超過であることが、相続人において過失なくして、判明した場合には、その債務超過が明らかになった時から、起算することになります。(最高裁判例)

28
【相続】遺産を相続する手続きについて教えてください。

概ね次の手順で手続きをします。詳細は行政書士にご相談ください。
1.遺言が残されていないかご確認ください。遺言があれば、遺言に基づく遺言執行手続を行う必要があります。
遺言がない場合は、次の手順に進んでください。
2.出生から死亡までの戸籍などを調査して、相続人を特定します。
3.民法900条に基づいた法定相続分の割合で相続するのか、相続人全員による遺産分割協議に基づく割合で相続するのか、相続人で決定します。
4.法定相続分による相続の場合は、上記2.の戸籍などの公的証明書類を添付して分割の手続きを行います。遺産分割協議による相続の場合は、上記2.の戸籍などの公的証明書類に遺産分割協議書の添付が必要です。

29
【相続】遺産分割協議書とは何ですか?

遺産分割の協議が行われた後、その結果を書面にして残したものが遺産分割協議書です。必ず作成しなければならないわけではないのですが、遺産に不動産が含まれている場合は登記手続きの際、添付書面として必要になります。銀行での手続の際にも必要な場合があります。
また、後日の紛争を避けるためにも、作成しておいた方が望ましいといえます。

30
【相続】相続財産を、遺産分割する(数人の相続人で分ける)には、どのような方法がありますか?

遺産分割は、共同相続財産の最終的帰属を決定するための手続で、当事者間の合意によるものと、家庭裁判所の審判による場合とがあります(民法第907条)。協議による遺産分割は、相続人となる者全員の合意が必要です。この合意が得られない場合は、家庭裁判所に調停を求めることが出来ます。これで決着しない場合は審判へと移行します。
なお、相続人のうち、子供が胎児であるとか、未成年者である場合には、親権者と子の利益相反行為になるので、家庭裁判所に特別代理人を選任して貰わなければなりません(民法第826条)。

31
【相続】特別受益の持戻しとはどういうものでしょうか?

特別受益の持戻しとは、相続人中に被相続人から特別の財産的利益を受けた者があるときは、遺産分割に際し、その点を考慮して相続分決め、他の相続人との間に計算上不公平が生じないようにする制度です。(民法第903条、第904条)
対象となる特別の利益とは、特定の相続人が、(1)被相続人から受けた遺贈や、(2)被相続人から生前に受けたある程度高額の財産的利益です。具体的事例としては結婚時の持参金、居住用建物の購入資金・開業資金などがあります。

32
【相続】寄与分とはどういうものでしょうか?

寄与分とは、共同相続人中に被相続人の財産の維持又は増加について特別の「寄与」をした者があるときは、遺産分割に際し、寄与分の加算をして相続人間の実質的公平を図る制度です(民法第904条の2)。
協議による遺産分割又は家庭裁判所の審判(調停)のどちらで決めてもかまいません。
考慮の対象となる「寄与」とは、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法によるものです。計算方法は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、その者の法定相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とします。

33
【相続】株券を自宅や貸金庫などで保管している場合、相続手続について気をつけることは何でしょうか?

上場企業の株券は、2009年1月より株券電子化により法律上、株券自体は無価値となり、無効(ただの紙切れ)となっていますが株主の権利は証券会社などの金融機関の取引口座において株券電子的に管理され、これまでどおり株主の権利は守られています。
但し、株券電子化時に本人名義(相続人名義)ではなく被相続人名義のままであった場合、株券電子化に伴い、株主としての権利を保全するために株主名簿上の名義で「特別口座」が開設されますが、そのままでは株式の売買などの取引はできないので、株式の相続による名義書換の手続を行ってください。

34
【相続】我々相続人以外の第三者に全財産を遺贈するとの遺言が見つかりました。今後の生活に支障が出ます。一部でも相続財産を確保できないでしょうか?(遺留分)

被相続人個人の相続財産の処分は原則として自由ですが、被相続人に依存していた一定の親族のために遺産の一部を留保させる制度が遺留分です。
ただし、被相続人が、相続人以外の第三者、もしくは相続人の一部の者になした贈与や遺贈が遺留分を侵害する場合、それが直ちに無効になるのではなく、遺留分を有する相続人は遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び贈与(相続開始前の一年間にしたものに限る。)の減殺を請求することができる(民法第1031条、第1030条、Q35参照)ということになります。

遺留分権利者: 兄弟姉妹以外の相続人、すなわち、配偶者、子、直系尊属です(民法第1028条)。子の代襲相続人も含まれます。
遺留分の割合: 直系尊属のみが相続人であるときは被相続人の財産の3分の1、その他の場合には2分の1(民法第1028条)。遺留分権利者が複数の場合は、これに法定相続分を乗じたものが各人の遺留分になります。

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【相続】遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)とはどんなとき使いますか?

遺留分減殺請求権とは、遺留分の侵害を回復するための権利です(民法第1031条)。相続によって受ける利益の価額が遺留分額を下まわる場合に、その差額を限度として成立します。 行使の相手方には、受遺者・受贈者たる相続人のほか、他の相続人の遺留分を侵害する相続分指定を受けた相続人も含まれます。
この権利は権利者ごとに行使するかどうか個別に決めることができます。減殺する旨の意思表示だけでよく、裁判による必要はありません。減殺請求権を行使すべき期間は限られており、遺留分権利者が相続の開始および減殺すべき遺贈又は贈与のあったことを知った時から1年(時効期間)、相続開始の時から10年(除斥期間) が経過すると請求できなくなります(民法第1042条)。

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【相続】死亡した人が借りていた借家に、その相続人は住むことができるのでしょうか? 内縁の妻(夫)であった場合は、どうなるのでしょうか?

家を借りその家を利用する権利を賃借権といいますが、この権利は相続されます。従って、死亡した人の相続人が相続放棄等をせずに相続すれば、家主から出て行くよう申し出があったとしても相続した賃借権をもって対抗できます。
一方、内縁の妻(夫)は、相続人ではないので、賃借権の相続もありませんが、以下のように居住権が認められる場合があります。

◇ 相続人がいる場合
1.判例は、「賃借権自体は相続財産であるので内縁の妻には承継されないが、内縁の妻等 は相続人の承継した賃借権を援用する形で居住権を主張できる。」としています。
2.相続人が賃借権を主張して、内縁者に賃借権はないからと、借家の明け渡しを要求して来ることもあり得ます。この点、判例は、賃借権を持つ相続人が家を利用するにつき特別な事由があることを要求しています。つまり特別な事由がないのに明け渡せという要求は、権利の濫用(自分の持つ権利を本来の目的から外れた形で用いること)に当たるとし、認められないとしています。
◇ 相続人がいない場合
賃借人に相続人がいない場合には、内縁者に賃借権を承継させるという規定が借地借家法にあります(借地借家法第36条)。この条文の趣旨は、もし被相続人に相続人がいない場合には、それまで生活を共にしてきた内縁者に特別に承継させようというものです。

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「内容証明」とは何でしょうか? どんなときに出すのでしょうか?

「内容証明」とは、郵便物の差出日付、差出人、宛先、文書の内容を差出人が作成した謄本によって日本郵便が証明することで、法的な証拠付けになり得るため、クーリング オフの場合など各種通知書や催告書などを出す場合に使います。
ただし、内容証明は証拠付けになっても、法的強制力はありません。
また、場合によっては、むやみに内容証明を出すと相手の態度を硬化させることにもなりかねません。出す場合は行政書士に相談されることをお勧めします。

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「公正証書」とは何でしょうか? どんなときに使いますか?

公正証書は、公証人が法律に則って作成する公文書で、遺言公正証書、任意後見契約公正証書、金銭の貸借に関する契約や土地・建物などの賃貸借に関する公正証書、離婚に伴う慰謝料・養育費の支払に関する公正証書などがあります。
公正証書は証明力が高く、強い執行力を持ちます。債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができます。
どんな場合に公正証書にした方がいいか、どんな場合に公正証書にしなければならないかについては、行政書士にご相談ください。

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(消費者契約法) どのような契約が対象になりますか?

消費者と事業者の間で締結される契約(労働契約を除く)の全てが対象となります。
この場合の「事業者」とはすべての法人及び「事業として又は事業のために契約の当事者となる」個人をいいます。
また、「消費者」とは前記以外の個人をいいます。ですから、消費者が個人の場合であっても、事業のためにした契約は、消費者契約法の対象にはなりません。

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(消費者契約法) どのような契約を取消すことが出来ますか?

契約を勧誘する事業者に以下のような不適切な行為があり、それによって契約をした場合は取消すことができ、大きく分けて次の2つのケースがあります。

1.事業者の情報提供が不適切なため、消費者に「誤認」を生じた場合
?事業者が重要事項について真実と異なることを言った。(不実告知)
?将来の見込みを断言した。(断定的判断の提供)
?消費者に不利益なことを知っていて隠していた。(故意の不利益事実の不告知)
2.事業者による不当な強い働きかけがあり、消費者が「困惑」した場合
?自宅や職場に来て帰って欲しいと言ったのに居座って契約を結ばせた。(不退去)
?呼び出されて帰してもらえず契約を結んでしまった。(監禁)

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(消費者契約法) 契約の取消以外に、消費者の救済方法はありますか?

事業者の定型的な契約書(及び約款)を使用するような場合、契約の内容が消費者の利益を一方的に害するとき、消費者契約法は、その条項を無効とするとしています。
例:法外なキャンセル料を要求するもの、事業者の損害賠償責任を免除や制限しているものなど。

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(消費者契約法) いつまでに取消をすればいいのでしょうか?

取消権は誤認に気がついたとき又は困惑行為の時から6ヶ月、契約成立後から5年以内であれば行使出来ます。

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(消費者契約法) 契約の取消はどうすればいいのですか?

取消の意思表示は、口頭による場合でも有効ですが、取消の意思表示と日付を明確にするためには、内容証明郵便等により、書面で事業者に通知する方がいいでしょう。(Q2参照)
また、紛争になった場合、取消しの理由は消費者側が証明する必要があるので、契約書、パンフレット、説明資料や説明を受けた時のメモなどは大切に保管しておきましょう。

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(特定商取引法) 「クーリング・オフ」はどんな場合にできますか? 消費者契約法による契約の取消とどう違うのですか?

訪問販売、電話勧誘等不意打ち的勧誘により商品や役務を購入した場合、契約書を受け取った日から8日以内(マルチ商法、内職・モニター商法は20日以内)であれば、原則無条件で契約の申込の撤回または契約の解除ができること(クーリング・オフ)が、特定商取引法などで定められています。一部の例外を除き、原則全ての商品と役務(サービス)が対象となります。
じっくり考えてから購入できる店舗での買い物や通信販売には、クーリング・オフは適用されません。誤認、困惑の理由がある場合は、消費者契約法による取消ができます。通信販売の場合は、事業者が独自に解約や返品についてのルールを設けている場合があり、契約前に返品ルールの有無と、その内容をよく確認しましょう。

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(特定商取引法) 訪問販売がしつこく、断りにくくて困っています。

訪問販売では、消費者が契約しない旨の意思表示をした場合は、それ以上勧誘してはならないことが法律に明示されています。はっきりと断るようにしてください。

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(特定商取引法) 判断能力が不十分な高齢者が訪問販売で勧誘されるままたくさんの布団を購入しました。解約できるでしょうか?

訪問販売では、その日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約は、契約締結から1年間契約の申し込み撤回又は売買契約の解除ができます。ただし、申込者等に当該契約の締結を必要とする特別の事情があったとみなされるとできません。

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(賃貸借) 借家の修繕をしたいのですが、家主さんに修繕費用を持ってもらえるのでしょうか?

民法では、賃貸人は賃貸物の使用をするのに必要な修繕をする義務があると規定しています。(民法第606条)。借家人は修繕の必要なその旨を家主に伝えたうえで(民法615条)、家主に修繕を求め、自ら修繕費用を出したときは家主にその償還を請求できることになっています。(民法第608条)
一般的な修繕費用の負担基準としては、建物の主要構造部分(柱、屋根、壁、床、基礎土台など)については、家主に修繕義務があるとされ、建物の付属部分(畳、建具、ふすまなど)は借家人に修繕義務があるとされています。
しかし、特約等により借家人が修繕義務を負うとされている場合などもあり、そのようなケースでは個別事案ごとに判断が必要になります。

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(賃貸借) マンションを出ることになりましたが、家主さんが敷金を全額返還してくれません。どうしたらいいでしょう。

敷金とは、家主にとっては、借家人が借りた部屋を明け渡すまでに生じた一切の債権を担保する金銭のことをいいます。敷金は通常、入居日までに家主側に差し入れ、契約期間が終了し明渡しを完了した後、「未払い家賃」や「原状回復費用」を差し引いた上で、返還されます。
法的には、敷金は家主が借主から「預かっている」にすぎないものですから、「未払い賃金」や、借りた部屋を故意・過失により汚したり破損したりがない限りは、「全額」返還されるのが原則です。ただここで、最もトラブルの原因となりやすいのは、「原状回復費用」について両者の言い分が違うことです。話し合いがつかない場合は、専門家にご相談ください。

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(賃貸借) 賃貸借契約書に特約として、敷金が全額返還されない条項が含まれていた場合は、それに従わなければならないのでしょうか?

敷金のうち、一定金額を差し引く制度を敷引きといいますが、敷金は全額返すのが原則であることを考えれば、敷引きの特約があるからといって、必ずしも家主は敷金返還義務を免れるわけではありません。
特に、借家人の過失の有無に関わらず敷金は一切返さない旨の特約は、消費者契約法に反し無効とする最近の判決もあります。たとえ家主が個人であっても、反復継続して賃貸マンションを経営している場合には、消費者契約法の適用があります。

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(委任状) 委任状を作成する際、特に注意すべき点はありますか?

委任する事項の内容を出来るだけ明確(具体的)にすることです。白紙委任状の作成は避けて下さい。

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(契約書) 契約書を作るとき、捨印をして欲しいと頼まれました。どうしたらいいでしょう。

改ざん防止のために、避けるべきです。

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(保証) 友人の金銭消費貸借契約の保証人になって欲しいと頼まれました、保証人には誰でもなれるのですか? また、一旦保証人になった後、気が変わった場合は保証人をやめることはできますか?

保証人とは、債務者が立てる場合は、行為能力者で弁済能力があれば、基本的には誰でもなれます。(民法450条)
保証をすれば、金銭消費貸借契約に附随的に、債権者と保証人との間に保証契約が成立します。保証契約締結後は、原則として、債権者が同意するか、弁済が終了するかしなければやめることができません。但し、債権者側に詐欺や強迫があった場合は、保証契約を取り消して保証人をやめることが出来る可能性があります(民法96条1項)。

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(保証) 保証人と連帯保証人の責任に違いはあるのですか?

責任に違いはありません。どちらも主たる債務者の債務を保証することに違いはありません。(民法第446条)
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべきであるということができ(催告の抗弁権、民法第452条)、また、債権者がこの規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければなりません(民法第453条、検索の抗弁権)。
一方、連帯保証人にはこれらの抗弁権がなく、債務者と同じように債務の履行の請求を受けます。

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(保証) 友人の賃貸借契約の保証人になろうと思いますが、注意する点はありますか?

一般に、賃貸借契約においては、連帯保証人となる場合が多いです。連帯保証人となる人も、賃貸借契約および保証契約の内容を十分に理解した上で判断してください。

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(自転車事故) 歩道を歩行中、自転車がぶつかって来て怪我をしました。警察に届けるべき、でしょうか?

人身事故の場合、どんな小さな事故でも、加害者は警察に届け出る義務があります。自転車と歩行者の場合、自転車搭乗者が届け出ない場合もあり、被害者が届け出を出した方がいいと思います。
自転車と歩行者の事故や、自転車同士の事故により、歩行者等を死傷させた場合、自転車利用者に過失または重過失があるときには、業務上過失致死傷罪が課せられることがあります(刑法第211条第1項)。

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(自転車事故) 自転車と歩行者の事故の場合で過失割合はどのようになるのでしょうか?

よくホームページなどに、自転車と歩行者の過失割合について、何%対何%などと載っていますが、参考程度にしてください。事故の状況で、ひとつとして同じ事故はなく、ケース・バイ・ケースです。
過失割合については、信頼のおける専門家にご相談下さい。

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日本での永住は、永住を希望すれば誰でも許可されるのでしょうか?

1.入管法上の許可要件
1.素行が善良であること(日本の法律に対する遵法精神)
2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(生計維持能力)
3.法務大臣がその者の永住が日本国に利益に合致すると認めたとき(裁量)
2.実務上の要件
1.10年以上継続して日本に在留していること。但し、留学生として入国し学業終了後就職している者については、就労資格に変更許可後5年以上の在留歴を有していること。
2.最長の在留期間(3年)をもって在留していること。
尚、日本人、永住者の配偶者などの場合はこれより短い在留期間(3年以上)で足ります。

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外国人登録について教えて下さい。

外国人は日本に上陸した日から90日以内に、日本で出生しそのまま在留する赤ん坊は60日以内に、居住する市区町村に外国人登録をしなければなりません。(但し、出生から60日を超えて日本に在留しようとする場合は、出生から30日以内に在留資格の取得の申請をしてください。)
それらを定めた外国人登録法は外国人の居住や身分関係を明らかにし、公正な管理に資することを目的としています。住所移転や在留期限の更新等によって登録事項に変更があれば、その都度届け出が必要です。
平成24年7月から「新たな在留管理制度」が導入され、外国人登録法は廃止されます。詳しくは、入国管理局のホームページをご覧ください。

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日本の国籍を取得したいと思っています。日本国籍の取得について教えて下さい。

貴方のように自分の意志で日本の国籍を取得することを「帰化」といいます。帰化は法務大臣に「日本人になりたい」旨を申請し、許可された時に日本国籍が与えられます(国籍法4条)。しかし、申請すれば必ず許可されるというものではなく、帰化条件を審査した上で法務大臣が拒否の判断をするものです。帰化の条件としては(1)居住条件、(2)能力条件、(3)素行条件、(4)生計条件、(5)重国籍防止条件等があります。

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父親が日本人で母親が外国人です。父母は結婚していません。日本国籍は取得できますか。

この場合で子が日本国籍を取得するには、従来は、父親による認知に加えて父母の結婚が必要でした。しかし法改正により、平成21年1月1日からは父母の結婚が不要になりました。具体的には、次の条件に当てはまる方は届出によって日本国籍を取得できます。
1.父に認知されていること
2.20歳未満であること
3.過去に日本国民であったことがないこと
4.出生したときに認知をした父が日本国民であったこと
5.認知をした父が現に(死亡している場合には死亡した時に)日本国民であること
なお、日本国籍を取得するのはその届出のときです。出生時にさかのぼって日本国籍を取得するのではありません。また、父母が結婚していないため法改正前には国籍を取得できなかった方も、平成23年12月31日までに届け出れば日本国籍を取得できます。

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フィリピンから10年前来日しました。
日本の生活にも慣れ、将来も日本に住み続けたいと考えています。
そこで、日本国籍を取得したいと思うのですが、どういう要件が必要でしょうか?

日本国籍取得(帰化)のためには、次の6つの要件が必要です。
1.引き続き5年以上日本に住所を有すること
2.20歳以上で、かつ、自分の国の法律(質問者の場合はフィリピン)によって能力を有すること。(つまり、自分の国の法律上、成年に達していること。)
ただし、未成年者の場合は、親が帰化許可申請を出せば「日本国民の子」ということで、この条件は問題にならなくなります。実際、親と未成年の子供が同時に帰化許可申請をすることが可能です。
3.素性が善良であること。
これは前科や非行歴、納税義務を果たしているかどうかによって判断されるものと考えられます。
4.自分、もしくは生計をひとつにする配偶者、その他の親族の資産・技能によって生計を営むことができること。
5.無国籍、もしくは日本の国籍の取得によってそれまでの国籍を失うこと。
6.政府を暴力で破壊することを企てたり、不法団体を結成・加入したりしないこと。
※帰化申請には2年近くかかるのが普通です。申請後も交通違反や税金の滞納など、行動に十分な注意を払って下さい。
また、国籍法の条文にはありませんが、日本語の読み書き・理解・会話能力は当然必要なものとされています。
なお、日本人と結婚している場合は、条件が一部緩和されます。

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私は、先日駐車違反で青キップを切られました。これから帰化申請は可能でしょうか?

帰化の要件の中に「素行が善良であること」というのがあります。
交通違反や交通事故を起こしている人の場合はこの条件に反していると判断されることがあるようです。
ただ、現状の取り扱いとしては、軽微な交通違反であれば、申請も受け付けられ許可となっているケースもあり、違反や事故の回数、程度により具体的に取り扱いが異なりますので、係官に具体的な内容を相談され、指示をあおぐと良いでしょう。
違反や事故の内容等により、「あと○年申請を待つように」と指示が出されることもあります。

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私は、預貯金がほとんどなく、不動産等の財産もありません。このような場合でも帰化できるでしょうか?

申請書にも、預貯金の額や所有不動産、高価な動産を記入する欄があり、心配なさる方がおられます。今日では通常の生活が営める収入や財産があれば許可となっていますので、それほど心配する必要はないと思います。

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申請が受け付けられれば、必ず許可となるのですか?また、申請してからどのぐらいの期間がかかりますか?

許可は、法務大臣の自由裁量となっており、受け付けられたからといって、必ず許可となるわけではありません。ただ、実際は申請の相談の段階で明らかに許可が難しい方の場合は、係官からその旨のアドバイス等があることも多く、申請が受け付けられた方で、不許可となる方は少ないようです。また、申請してから許可までの期間は、申請内容により審査内容も異なり、その支局の受付件数にもよるため一概には言いにくいのですが、7ヶ月から1年程度が多いようです。

1
観光ビザで働けますか?

観光ビザで日本に入国すると「短期滞在」の在留資格が与えられます。「短期滞在」は日本において収入を伴う事業を運営したり、また、報酬を得る活動に従事することはできません。従って働くことはできません。但し、賞金や謝礼等の報酬の性格を有しない範囲の金員の受領は許されています。

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私は飲食店を経営していますが、留学生をアルバイトとして雇うことになりました。日本の学生と同じ条件で雇用して問題はありませんか?

留学生がアルバイトをするには、入国管理局で資格外活動許可を得ておく必要があります。留学生をアルバイトとして雇用する際には、その学生が資格外活動許可を得ているかどうかを確認しておくほうが良いでしょう。また、留学生は、風俗営業店でのアルバイトは許可されないことや、1週間に働くことが出来る時間が決められている等の制限があります。

3
では留学生は、日本人学生と同じように働いてもらうことはできないのですか?

留学生の在留資格は、日本語学校で日本語を学んだり、大学や専門学校等で学ぶ「留学」の在留資格があります。資格外活動許可を得てアルバイトできる時間は、留学生(研究生や聴講生を除く)は1週について28時間以内です(長期休暇中は1日8時間以内)

4
私はスリランカ人女性です。夫もスリランカ人で、現在京都にある自動車関係の貿易会社で働いています。夫の在留資格は「人文知識・国際業務」で、私は「家族滞在」です。子供もいませんので時間的余裕があります。私も働いて家計の足しにしたいです。働いてもいいでしょうか?

家族滞在の在留資格を有する人は、入国管理局に「資格外活動許可」を申請し許可をもらえば、アルバイト活動ができます。レストランのウエイトレスやお弁当屋さんでの弁当の調理や販売など、特別の知識や経験を要するものでなくても差し支えありません。但し、留学生と同じく週28時間以内で、あくまでアルバイトですのでその範囲を越えるような報酬を受け取ることはやめましょう。また風俗営業関係のアルバイトも認められません。

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今度大学を卒業する留学生をコンピュータープログラマーとして採用したいのですが、何か手続をする必要はありますか?

理系の学部・学科を卒業する留学生を採用する場合、「留学」から「技術」ヘ在留資格の変更をしなければなりません。コンピュータープログラマーとして働くのですから、大学でコンピューター関係を専攻したか、コンピューターに関係する科目を履修したことが必要です。今日あらゆる分野でコンピューターの知識・技術が必要とされますので、文系の学部・学科を卒業してもプログラムの内容によっては就職が可能な場合もあります。この場合は「人文知識・国際業務」となります。

6
私は中華料理店を経営しています。「技能」の在留資格を持つ外国人を採用することになりましたが、コックとして働くことを許可された外国人ですから、このまま採用しても問題はありませんね?

既に「技能」の在留資格を認められた外国人ですので、仕事内容が同じであれば採用しても問題ありません。しかし、入管は前の職場(中華料理店)で働くことを前提に許可をしています。新しいお店が「技能」の在留資格を認めるに足る条件を満たしているのか、雇用契約はどうなっているのかなど入管は分かりません。期間更新がまだかなり先であれば、就労資格証明書を申請して下さい。交付されれば安心して働けます。

7
私は、英会話教室を経営しています。今度英会話教師として採用するアメリカ人の在留資格を確認したところ「短期滞在」でした。在留資格変更の申請をすればよいでしょうか?

英会話教師として働く場合、「人文知識・国際業務」という在留資格が該当します。その外国人が大学を卒業しているか、語学教師として3年以上の経験を有していることが必要です。
また「短期滞在」からの在留資格変更は、身分事項の変更等、やむを得ない特別の事情がなければ許可されません。在留資格認定証明書交付申請をすることになります。

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私は日本で英語を教えているイギリス人です。今までは「人文知識・国際業務」で、小さな英会話スクールで教えていました。今度、関西にある短期大学で教えることになり、私の収入の7割は短大からの給料です。英会話スクールでも週に2回ほど講師をするつもりでいます。入管に何か手続きをしなければいけませんか?

英語を教えるという活動は同じであっても、どこで教えるかによって在留資格が異なります。大学・短期大学などで教える場合は「教授」、高校・中学などで教えるのなら「教育」、そして英会話スクールや会社の社内研修講師をする場合などは「人文知識・国際業務」となります。ですから、あなたは「教授」への在留資格変更申請と英会話スクールで教えるための「資格外活動許可」を申請しなければなりません。

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私はロシア人で、日本の中古自動車部品の買付にクラスノヤルスクから「短期滞在」90日で来日しました。後20日程で在留期間が終わりますが、重要な取引が終わっていません。できましたら在留期間を60日ほど延長して欲しいのです。いったん帰国して、もう一度来日することは経済的時間的に大変な負担となります。延長はだめでしょうか?

「短期滞在」での入国者は、在留資格の変更も在留期間の延長(更新)も認められないのが原則です。以前は、あなたのようにビザを取得して入国し、延長を求めることにつき納得できる理由があり、国が遠いため帰国・再来日が容易でないなどの事情から、期間の更新が認められる場合もありました。しかし現在は病気などで帰国できない特別な事情がないかぎり、延長は認められません。

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私は日本人男性です。今回、中国在住の中国人女性と婚姻しました。日本で一緒に住むために彼女を日本に呼び寄せたいのですが、どのような手続をすればよいのでしょうか?

婚姻手統も済んでいるようであれば、まず、あなたが入国管理局に「在留資格認定証明書」の交付申請を行います。無事、証明書が交付されたならば、それを中国にいる奥さんに送り、奥さんはそれを持って在中国の日本領事館指定の代理機関を通じて在中国の日本領事館で査証(ビザ)の申請を行います。査証(ビザ)が出ましたら、査証(ビザ)のシールが貼られた旅券(パスポート)と上記の「在留資格認定証明書」を持って日本に入国することになります。「在留資格認定証明書」の有効期限は3ヵ月です。そして、問題がなければ、日本上陸時に「日本人の配偶者等」の在留資格の証印のシールを貼ってくれますので、以後日本で在留することができるようになります。

2
私は日本人女性です。結婚しようと考えている男性が「短期滞在」の在留資格で韓国から日本に来ています。彼が結婚ビザを取得するには、一度、韓国に帰らなければいけないでしょうか?

韓国に帰らなくても結婚ビザ(「日本人の配偶者等」の在留資格)へ変更できる場合がありますので、一度、入国管理局で確認をされるのがよいでしょう。その場合は、彼の在留期限までに、日本での婚姻手続と入国管理局への「在留資格変更許可申請」をする必要がありますので、できる限り早く在日本の韓国領事館等で彼の「基本証明書」と「婚姻関係証明書」を取得して、それらの日本語訳の翻訳文を添えて、役所にて婚姻届を提出して下さい。届出が受理されましたら、婚姻事項の記載されたあなたの戸籍謄本、その他必要書類を持って、入国管理局に彼の在留資格「短期滞在」を「日本人の配偶者等」に変更してもらうように「在留資格変更許可申請」を行って下さい。

3
私は韓国人女性です。日本人男性と結婚して8年になりますが、今回離婚をすることになりました。二人の間に子供が一人います。子供は私が引き取って育てたいと考えていますが、日本で子供と一緒に暮らすことはできるでしょうか?

まず、あなたが子供の親権者となるように、離婚の協議において定め、かつ、離婚届書にその旨を記載するようにして下さい。あなたの場合のように、未成年かつ未婚の日本人の実子を扶養する場合で、親権者であり、その子を養育、監護する場合には「定住者」としての在留資格を取得できる可能性があります。離婚後は、できる限り早く、現在の在留期限が来るまでに、あなたの在留資格を「定住者」に変更してもらうように「在留資格変更許可申請」を行って下さい。

4
私はフィリピン人女性です。日本人男性と結婚して4年になりますが、生涯を日本で暮らしていきたいと考えています。永住のビザを取ることはできるでしょうか?

あなたの場合は日本人男性と結婚していますので、そうでない一般的な方の永住の許可要件よりは幾分緩和されていますが、最低限下記のような条件を満たす必要があります。
1.実体を伴った婚姻が3年以上継続しており、かつ、引き続き1年以上日本で在留していること。
2.現在有している「日本人の配偶者等」の在留期間が最長のもの、つまり「3年」となっていること。
それ以外についても、あなたの永住が日本国の利益に適合するかどうかを法務大臣が総合的に判断することになります。以上を踏まえた上で「永住者」の在留資格の許可を申請する場合は.入国管理局に必要書類を確認の上、それらを添えて「永住許可申請」を行って下さい。

5
私は中国人女性です。日本人の彼と結婚して3年以上継続して日本で生活しています。日本国籍を取得したいと思いますが、日本に住んで5年以上経たないと帰化はできないでしょうか?

あなたの場合は、日本人男性と結婚して3年以上継続して日本に住んでいますので、そうでない一般的な方の帰化の許可とは異なり、居住条件が緩和されています。あなたの場合のように、「日本国民の配偶者」である場合は、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有していればよいのです。ただし、素行条件(交通違反や納税義務等)や生計条件(生活能力があること)等、その他の帰化条件も合わせて満たす必要があります。

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パスポートを取得したいのですが、どのような手続きが必要ですか?

有効期間が10年と、5年のものがあります。但し、20歳未満は5年のみです。(海外に渡航する場合は、年齢に関わらず、旅券(パスポート)を取得する必要があります)
【申請に必要なもの】
1.一般旅券発給申請書(都道府県の旅券課窓口にて配布)
2.発行後6ヶ月以内の戸籍抄(謄)本1通
3.発行後6ヶ月以内の本籍地が記載されている住民票1通(住民基本台帳ネットワークシステムで確認できる場合には原則不要)
4.写真(縦4.5cmX横3.5cm、縁なし、正面上半身、6ヶ月以内撮影のもの)1枚
5.官製はがき(未使用、あて先に自分の住所・氏名を記入)1枚
6.身元確認書類(運転免許証など1通。ただし健康保険証など写真のないものや、写真付きでも学生証や社員証などはそのうち2通必要)
7.以前に取得した場合はその旅券
【旅券発給手数料】
?満20歳以上→10年旅券1万6千円→5年旅券1万1千円
?満20歳未満→5年旅券1万1千円
?満12歳未満→5年旅券6千円
書類の作成や申請手続きを行政書士に依頼することも可能です。但し、旅券の受け取りは、本人のみが可能です。
詳しくは、各都道府県の旅券事務所にお問い合わせください。

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旅先で旅券を紛失(盗難)しました。どのようにすればよいでしょうか?

次の書類を揃えて日本総領事館へ出向きます。
1.一般旅券再発給申請書(総領事館でもらえる)1通
2.戸籍謄本又は抄本1通
3.紛失・消失届出書(総領事館でもらえる)1通
4.旅券用写真(サイズは上記と同じ)1枚
5.現地警察発行の盗難/紛失証明書1通
通常、1?2週間かかります。

また、帰国を急ぐ場合には1?2日で発行される「帰国のための渡航書」(有料)が取得できます。
1.渡航書発給申請書1通
2.旅券用写真2枚
3.日本国籍を証明する書類(本籍が確認できる免許証など)又は戸籍謄本若しくは抄本1通
4.搭乗日が記載された航空券、その他日程等が確認できる書類
この渡航書では他国に立ち寄ることが出来ず、日本への直帰となります。旅先で旅券の紛失(盗難)とならないように気をつけるのが1番ですが、万一のために旅行の際には(1)旅券の写真ページのコピー、(2)旅券用写真2枚は最低準備されてお出かけになられることをお薦めいたします。
詳しくは在外公館ホームページをご覧ください。

3
ビザ(査証)とは何ですか?

「査証」は英語でVISA(ビザ)」と呼ばれ、外務省の在外公館において発給されるものです。「査証」とは、本邦に入国しようとする外国人の所持する旅券(パスポート)に付与される入国のための推薦状のようなものです。実際入国する場合にそのビザを基に入国管理局が審査をしてその外国人に在留資格を与え上陸の許可します。従ってビザがあるからといって必ず日本に上陸できるとは限りません。

1
権利と義務とは?

権利と義務の関係には、個人対個人、個人対事業者(官公庁も含みます。以下同様)そして事業者(官公庁)対事業者(官公庁)の間に法律的な効果を発生(存続、変更、消滅等)させる契約(覚書、念書なども契約の一種です)があります。行政書士の権利義務に関する業務とは、これら契約文書を作成(代理作成も含みます)する業務です。
具体的には以下のような書類を作成することです。
1.売買、賃借、請負、雇用、身元保証等の契約書、境界確定書又は協定書の作成(官民境界、民民境界。)
2.遺言書、遺産分割協議書等の作成
3.各種内容証明書の作成
4.法人設立のための書類(発起人会議議事録を含む創立総会、取締役会議事録、株式申込書、定款等)
5.就業規則を含む各種規則
6.念書、示談書、協議書、覚書、合意書、嘆願書、請願書、陳情書、上申書、始末書等
7.自動車損害賠償保険法の規定による保険金の請求に係る書類の作成
8.著作権登録、著作物の確定日付、プログラム登録、著作権契約
行政書士の権利義務に関する業務にはこれ以外にも沢山ありますが、具体的な内容についてはお近くの行政書士にご相談ください。

2
内容証明とは何ですか?

いつ誰から誰宛にどのような内容の文書が出されたかを郵便局が証明するものです。

3
内容証明で事実が証明できますか?

書面の内容文書の存在が証明できるだけで、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません。

4
内容証明は、書留以外でも出せますか?

できません。一般書留とする必要があります。

5
内容証明と配達証明は、必ずセットにしなければいけないのですか?

必ずではありませんが、後で知らないと言われないためにセットが望ましいです。

6
電子内容証明サービス(e内証証明)と、効力に違いはあるのでしょうか?

違いはありません。

詳しくは「e内容証明の専用ウェブサイト」http://enaiyo.post.japanpost.jp/をご覧ください。

7
内容証明のメリット・デメリットについて教えてください

メリットは、いつ誰から誰宛にどのような内容の文書が出されたかを証明できることや相手側に心理的圧迫を与えることができます。
デメリットは形式・字数に制限がある。内容証明文書以外のものを同封できないことなどがあります。

8
先日、知り合いにお金を貸しました。ある程度大きな金額ですので、今になって不安になったのですが、その時に借用書を作っていません。大丈夫でしょうか?

借用書等の契約書がなくても、口約束(互いの意思表示)のみで契約は成立します。その時に、返済時期、利子等の約束まで交わしているならば、相手方もそれに拘束されることになるのです。将来的に相手方の翻意を心配されているならば、今からでも契約書を作成してもよいでしょう。「金銭消費貸借証書」、「債務確認書」等の契約書になるでしょう。

1
農地を宅地にかえて、家を建てたいのですが?(駐車場にしたいのですが?)

当該市町の農業委員会に農地転用の届出や許可申請が必要です。行政書士は、申請者の届出や申請の代理も行なうことができます。

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自宅前の道路や水路との境界がはっきりしません。敷地の境界をはっきりさせたいのですが?

道路・水路・里道などの公共用地(官有地)と個人の所有する土地との境界を明確にするためには、官民地境界確定の申請手続きが必要となります。行政書士は、申請に必要な測量も行っていますので、気軽にご相談ください。

3
父から家を相続しましたが、隣の家との境界がはっきりしません。この際きちんと境界を決めておきたいのですが?

相手が役所ではなく、民間同士の場合は境界の確認書を作成されることをお勧めします。行政書士は、そのための調査や測量を行ない、境界の確認書の作成も行なっています。

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家の前に今は利用していない水路がありますが、自由に使ってよいのでしょうか?

昔あった里道や水路が現在使用されていない場合、状況によっては市町等から払い下げを受けることが可能です。行政書士は、そのための用途廃止や売払いの申請手続きを行ないます。

5
後継者のいない農家が、農地を売って離農することを考えています。買主は、どのような手続きが必要ですか?

農地の売買は、売買の相手先の業種や取得した農地の利用目的、面積などにより農地法適用条項や関連法令によって各々の申請手続きが必要となってきます。
お近くの行政書士に、内容をご説明の上ご相談ください。

6
新たに自動車の購入を予定しています。家の前の道路に出るための出入口を拡げたいと思います。何か手続きが必要でしょうか?

出入口を拡げるにあたり道路構造物等の改良が起こる場合は道路法にかかる申請が必要となります。
行政書士は道路法にかかる申請も行っています。

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水路を横切って自宅へ入れるようにしたいのですがどのような手続きが必要でしょうか?

当該水路の種別によって手続きが変わってきます。
1.道路側溝、つまり道路区域の水路である場合は道路法に基づく申請が必要となります。
2.普通河川である場合は管轄市町村の普通河川の条例に基づく占用許可が必要となります。

1
「著作物」とは何ですか?

著作権法で保護される「著作物」とは、「思想、感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます。「創作的に表現したもの」であるので、たとえば他人のアニメや俳句を単に書き写したもの等は含まれません。それらは複製物といい、著作物とは区別しています。そこで「思想、感情を創作的に表現したもの」であれば、たとえ子どもが書いた絵、作文、彫刻であっても、上手下手は関係なく著作物ということができます。
著作物を創作した著作者には著作権が発生します。著作権を保有する人に無断で著作物を利用することはできません。

2
学園祭で演劇や音楽の演奏を行なうときに、著作権の侵害になりますか?

演劇、演奏が非営利で行なわれ、観客から料金を受けず、演劇者、演奏者に報酬が支払われなければ著作権者の許諾はいりません。

3
ホームページや写真などの下に丸の中に(C)の表示と名前、年号がよく書いてありますがあれは何ですか?

「c」のマーク(俗称「マルシーマーク」)はCopyright(著作権)のことをいいます。たいていはその著作物の権利者と創年が続けて書かれています。日本では特に書いていなくても著作権があることには何の変わりもありません。日本国内では、慣行として使用されています。(法的な表示義務はありません。)

4
著作物を創作すると、文化庁に登録しなければ著作権を取得できないのですか?

著作物を創作した段階で著作者には著作権が自動的に付与されます。権利を取得するために登録する必要はありません。
ただし、著作権登録制度は、その目的とは別の理由で設けられています。詳細はQ14をご参照ください。

5
ショッピングモールの管理運営をしていますが、正規に購入したCDを使って、モール内で音楽を流そうと思います。海賊版を使うものではないため、著作権者の許諾はいりませんね?

著作物の保護期間がきれていないときは著作権者の演奏権(財産権としての著作権の支分権のひとつ)との関係で許諾が必要です。著作権者とは作詞家・作曲家・編曲者及びそれらの人から権利の譲渡を受けた者をいいます。

なお、FM放送から録音し、適宜ピックアップしたものを録音媒体に固定して、それを店内で流すような場合には、著作者の複製権、実演家の録音権、レコード製作者の複製権、放送事業者の複製権との関係で権利処理が必要となります。

6
国内盤より安く販売されている輸入盤で、日本人アーティスト・グループの音楽CD・レコードを見かけますが、なぜ同じレコード・CDなのに価格の差があるのですか?

アジア諸国において、日本の音楽に対する人気は年々高まってきています。これらの国々では日本のレコード会社などからライセンスを受けてレコード・CDを製作しているのですが、この海外において製作されたレコード・CDが日本へ逆輸入(還流)され、安く販売されているのです。

※環流防止のための規制
以下の5つの要件をすべて満たしているときには、著作権者(作詞家・作曲家・レコード製作者・歌手等)は還流防止措置を講じることができる。
1.国内で先又は同時に発行されている音楽レコードと同一の音楽レコードであって、国内での頒布を禁止しているもの
2.上記要件1.の事実を知りながら輸入する行為等であること
3.国内で頒布する目的での輸入等であること
4.還流により権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されること
5.国内で最初に発行されてから4年を経過していないこと

7
同じ楽曲のレコード・CDの価格に差があることで、問題が生じないのですか?

同じ楽曲のレコード・CDが安く買えるなら、消費者にとっては歓迎すべきことかも知れません。
しかし、逆輸入されたレコード・CDが安く販売されることにより、本来売れるべき国内盤が売れなくなり、作詞家や作曲家、歌手・レコード会社などの経済的利益に大きな影響を与える事態が生じています。

8
「私的な使用」にあたる場合には、著作者の許諾なしに複製できるときいています。インターネットで配信されている音楽をダウンロードして私的に聞くだけなら、著作者の許諾はいらないということでよろしいですね?

インターネットで合法的に配信されている音楽をダウンロード(複製)して私的に楽しむのであれば「私的な使用」にあたり、著作者の許諾がいらないことは、ご指摘の通りです。
しかしながら、違法な音楽配信サイトやファイル交換ソフト等により違法に配信されている音楽や映像作品のダウンロードは、「私的な使用」には該当しません。つまりダウンロードそのものが違法となりますので、お気をつけください。

9
題名、標語、キャッチフレーズなどは著作物として保護されますか?

原則的には保護されないでしょう。著作権法は「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」著作物を保護する法律です。これらのものは単に言葉を羅列して組み合わせたものにすぎないため、この定義には当てはまるほどの創作性を持っているとはいいがたいでしょう。しかし、短くても中には俳句などと同じように保護に値する場合もあります。ケースバイケースと言うことになります。

10
コンピュータ・プログラムやデータベースは著作物として保護されますか?

保護されます。著作権法第10条第1項第9号は著作物としてプログラムをあげています。ただし、プログラムを表現する手段であるプログラム言語やプログラム言語の用法についての特別の約束としての規約、指令の組み合わせの方法である解法には保護は及びません。また、データベースの著作物も「情報の選択又は体系的な構成」によって創作性を持つものは保護されます。ただしこの場合に、そのデータベースがいくつもの著作物からなるときは、個々の著作物の権利は消滅しないことに注意する必要があります。それぞれ、コンピュータ・プログラムは昭和60年、データベースは昭和61年の法改正で明文化されました。

11
私がデザインしたキャラクターのイラストを、私に無断でホームページに掲載している人がいます。連絡をとると「私的な目的での利用だから構わないのでは」とおっしゃるのですが・・・

キャラクターのイラストをデザインしたあなたにはもちろん「著作権」があり保護されます。またホームページは不特定多数の人が閲覧できるものですので、著作物を例外的に無断利用できるとされている「私的私用」の範囲を超えています。先方に「著作権者である私から使用許諾を得てから使用して下さい」と堂々と主張しましょう。使用の停止を求めることもできます。

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フランス語の「原作」を日本語に翻訳した「小説」を出版したい場合、「原作者」と「翻訳者」のどちらの了解を得ればよいのでしょうか?

両方から得る必要があります。日本語訳版の小説(原作の「二次的著作物」)の著作者は「翻訳者」ですので、当然「翻訳者」の了解を得なければなりません。また「原作者」は、自分の著作物をもとに作られた二次的著作物を第三者が利用することについて、翻訳者と同じ権利を持ちますので、「原作者」の了解も必要となります。翻訳されたもの、脚色されたものと思われるもの、映画化されたものなどを利用する際には、「原作があるのではないか」「原作者は誰か」といったことに十分注意する必要があります。

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当社の新事業のことが新聞に掲載されました。事実の報道ですので、記事には著作権がないと思いますので、この記事をコピーして、営業や人事(採用)で活用したいと思います。問題ないですね?

著作権法第10条第2項では、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物に該当しないとあります。しかしながら、これは訃報や人事異動などの限られたものを指すものと理解されています。記事については著作権法により保護されているものとして扱い、その新聞社に連絡して利用の許諾を得ることが重要です。

14
当社の商品のワンポイントマーク(図形:ここでは著作物とします。)を、あるデザイナーに依頼して、その対価を支払って商品に使用してきましたが、新しい商品にデザイナーから提供されたものとは異なる色でワンポイントマーク(図形)を使用したところ、そのデザイナーから、勝手に色を変えてもらってはこまると抗議がありました。デザインの対価を支払ったら、当社に著作権が自動的に移転するのではないですか?

デザインの対価の支払が自動的に著作権の譲受を意味するとの解釈には無理があります。むしろ、具体的な著作権譲渡契約を締結しないときには、著作権は著作者に留保されているとみるのが一般的理解となっています。また著作権譲渡の契約を交わしたときでも、契約書又は譲渡証書中に「著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む。)を譲渡したことに相違ありません」のような文言を入れないときには、著作権の二次的利用の権利権、変形権・翻案権は譲渡されないことに留意する必要があります。今回のような変形・改変に関することで、トラブルを防止するためには、「著作権法第27条及び第28条の権利を含む。」の文言を含む形で著作権譲渡契約するとともに、「著作者は著作者人格権に基づく権利行使をしない。」という特約も入れた契約をすることも効果的です。著作者人格権は一身専属性の権利であり契約によっても譲渡されない権利であるためです。

15
著作権は、特許などの産業財産権と異なり登録によって権利が発生するものではなく、創作により自動的に生じるため、権利化のための登録は必要ないとのことでした。では文化庁への著作権の登録制度はどのようなものですか?

著作権の譲渡があったときには、当事者間の契約の成立により譲渡は有効となりますが、第三者には対抗できません。譲渡により権利を得た事業者が、著作権の譲渡があったことを文化庁に登録することで、第三者対抗要件を確保できますし、知的財産権を登録番号で特定して管理することにもつながります。

また、第一発行日や公表日の登録申請を文化庁に対して行うこともあります。プログラムの著作物であれば、(財)ソフトウエア情報センターに創作日の登録を行うことも可能です。この登録により第一発行日や第一公表日、創作日(プログラム)、さらには著作者名も含めて、法的には正しいものとして推定されます。著作権をめぐって争いとなったときには、立証責任が軽減されるという利点があるため、将来の法務リスク軽減の観点から、著作権登録制度を活用するケースもみられます。

ペンネームで音楽などの著作物を公表したようなとき、文化庁に実名登録をすることにより、著作物の保護期間の終期が「公表から50年」から「死後50年」に延長されて保護されます。
その他、出版権の設定登録、質権設定登録などもあります。

文化庁への著作権に関する登録申請については行政書士が代理手続を行っています。
なお、この手続は行政書士の独占業務となっています。

16
当出版社は、死後30年を経過した小説家の著作物を出版したいのですが、誰と、どのような契約をすればよいでしょうか。

著作権の原則的保護期間は、著作者の死後50年までですから、この小説家の著作物は著作権の保護期間中にあります。

貴社は、この小説家の相続人(原則として順序は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順)と出版許諾契約、出版権設定契約もしくは著作権譲渡の契約をする必要があります。出版権を独占的なものにしたい場合は、著作権者と出版権の設定契約を結び、存続期間、出版開始の時期、対価の額、支払方法、支払時期などを定め、文化庁に出版権設定登録申請を行うとよいでしょう。文化庁への著作権に関する登録申請については行政書士が申請代理手続を行っています。

著作権の譲渡の場合は、譲渡の範囲及び翻訳権、翻案権及び二次的著作物の利用に関する権利を契約内容に定めておいたらよいでしょう。

なお、著名な作家などの場合、遺族(相続人)以外の企業や団体に著作権が移転又は管理されている場合もありますので、ご留意下さい。

17
当社の従業員を使って著作物を創作する場合、いわゆる「法人著作」と認められるための要件を教えてください。

著作者になり得るのは,通常、実際の創作活動を行う個人ですが、法的には会社等が著作者となる場合があります。具体的には、次に掲げる要件をすべて満たす場合に限り、会社等が著作者になります。

1.法人著作の要件法人等の使用者側の「発意」に基づき作成されること
2.法人等の業務に従事する者が創作すること
3.職務上の行為として創作されること
4.公表する場合に法人等の名義で公表されるものであること(但し、プログラムの著作物については、公表されない場合も多いため、この要件は不要とされています)
5.契約や就業規則に、「職員を著作者とする」という定めがないこと
※著作権法上の「法人」には、法人格を有しない社団・財団で代表者・管理者の定めがあるものも含まれます。

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行政書士さんの中に「著作権相談員」がおられるそうですが、これはどういう方ですか?

著作権相談員とは、日本行政書士会連合会が定めた講義カリキュラムに基づく「著作権相談員養成研修」を修了し、所定の試験に合格した者で、著作権相談員名簿に登載された者です。この名簿は、文化庁等に提出されます。
著作権相談員は、「著作権分野の契約・行政手続の専門家」として日本全国に4249名(平成22年2月現在)おり、著作権登録や契約書作成などの依頼・相談に応じております。

1
「知的財産権」とは何ですか?

著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、育成者権(植物新品種の育成者に付与される権利)、半導体回路配置利用権等をまとめて「知的財産権」と呼んでいます。

2
「産業財産権」とは何ですか?

特許権・実用新案権・意匠権・商標権をまとめて「産業財産権」と呼びます。産業財産権法という固有の法律はありません。それぞれの法律(特許権・商標権等)の総称を産業財産権法と呼びます。かつて産業財産権を「工業所有権」と呼んでいた時期もありましたが、現在では「産業財産権」という名称が一般的です。財務諸表の勘定科目においても「産業財産権」の名称が使用される場合もあります。

3
特許は大発明、実用新案は小発明と聞きましたが、ライセンスを受けるときに特に重要な留意点がありますか?

現在の法制度の下では、実用新案権は無審査で登録されるため、登録番号が付されていたとしても、特許のように強力な独占排他権を特許庁が認めたものではなく、権利行使に当たっては制限が課されています。そこで実用新案権についてご説明します。

特許権の場合は、特許庁審査官により新規性進歩性等の特許の要件が審査されていることが前提となりますが、実用新案権は無審査で登録されるため、新規性進歩性等の要件を満たさない実用新案登録出願があったときでも、方式要件を満たしていれば登録されてしまいます。そこで、実用新案権が認められた権利は、玉石混交状態であるということができます。
実用新案権を保有しているとする権利者から権利譲渡の申出、実施許諾などのライセンスの申出があったときには、注意が必要です。
登録されている実用新案権が、実効性のある権利(独占実施しうる内容)かどうかを確認したいときには、その実用新案権につき実用新案技術評価書を特許庁に請求することができます。これは実用新案権を保有する権利者でなくても請求できますので、実用新案技術評価書を得て、国内で独占実施しうる権利かどうかを確認することができます。ただし、実用新案技術評価書は、刊行物記載に基づく新規性と進歩性を判断するものであり、公知・公用についての評価がされないことに留意しなければなりません。
実質的な権利のない実用新案権の譲渡や実施許諾にはご注意ください。
ライセンス契約の事実を登録することでライセンシーはどのようなメリットがあるのかについてですが、ライセンサー(許諾者)が権利を譲渡したときでも、新たな権利者に対して、ライセンシーが対抗要件を主張できることがメリットとなります。
なお、行政書士は、実施・使用の許諾を受けた方(ライセンシ?)の権利を保護するための専用実施権・通常実施権・専用使用権・通常使用権の登録申請を特許庁に対して代理手続を行います。

4
新商品の開発を行いました。その商品の名称(ブランド)として、業界でよく知られた大手企業の商品と近似したネーミングで商品販売しようと思います。そのほうが売れると思いますが、何か気をつける点がありますか?

有名なブランドと近似したネーミングの商標を採択すると、当該有名ブランド商品との営業主体の混同が生じる可能性があります。そのようなとき不正競争防止法により差止請求・請求損害賠償請求の対象となったり、刑事罰が課されるおそれがあります。有名ブランドにすりよるネーミングは長期的に見ても何らメリットはありません。よい品質で喜ばれる商品を提供するのであれば、他人の商標と類似しない商標を採択し、その商標に顧客からの信用が蓄積するような努力をすることが重要です。
また、商標が類似するときには、商標権を侵害するおそれもあり、当該事業を推進できないばかりでなく、民事上刑事上で責任を問われるおそれがあります。

5
特許権の譲渡を受けました。特許庁に登録申請しなければならないものなのでしょうか?

特許権を第三者に移転したときは、移転の事実を特許庁に登録しないと効力が発生しません。
特許権のほか、実用新案権、意匠権、商標権についても同様です。
行政書士は、上記の権利移転について特許庁への移転登録申請の代理手続を行っています。

6
植物の新品種の開発に成功しました。新品種の登録をする制度はあるのでしょうか?

農林水産省に新品種の登録ができる制度があります。新しい品種であるのか、新品種が安定的継続的に栽培可能であるのか等の要件が審査され、登録されたときには、独占的な権利が与えられます。これを「育成者権」といいます。

行政書士は、植物の新品種についての農林水産省へ代理手続を行っています。なお、この手続は行政書士の独占業務となっています。

1
離婚をするにはどういう方法がありますか?

大きく分けると、次のふたつの方法があります。
1.夫婦が話し合いで合意する方法(協議離婚)
2.裁判所の手続きを利用して離婚する方法

2
(1)協議離婚とは?

離婚原因について法律で規定されているわけではありません。離婚について争いの余地がなく、夫婦双方に離婚の合意がある場合に、届け出ることによって成立する離婚です。

3
(2)裁判所の手続きを利用して離婚する方法とは?

夫婦間の話し合いが整わず協議離婚ができない場合に、家庭裁判所の関与により成立する離婚です。
調停離婚、審判離婚、判決離婚、認諾離婚、和解離婚の5種類があります。

4
「家庭裁判所の関与」とは?

離婚協議ができなかった場合、まず家庭裁判所に調停の申立をする必要があります。家庭裁判所調査官の事実調査や調停委員の意見を参考に、当事者間で離婚の合意が成立する場合を調停離婚といいます。
調停が不成立の場合に、家庭裁判所が職権でこれまでの調停内容を考慮した審判をします。審判について2週間以内に異議申立がない場合に成立する離婚を、審判離婚といいます。
他方、調停が不成立の場合に、審判に移行しない場合や、審判に異議申立があった場合には,離婚訴訟を起こすことになります。訴訟により成立する離婚を判決離婚といいます。なお、離婚訴訟で離婚を請求するには、法律で定められた離婚原因が必要です。また、裁判途中でも、双方の歩み合いにより和解して成立する離婚を和解離婚、訴訟を起こされた側が、起こした側の言い分を全面的に受け入れて成立する離婚を認諾離婚といいます。

5
判決による離婚にはどのような原因が定められていますか?

次の場合に限って離婚の訴を提起することができます。
1.配偶者に不貞な行為(貞操を守らないこと)があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄(すてられること)されたとき。
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

6
A5の原因のうち5.の重大な事由の具体例はどのようなものですか?

次のような場合がありますが、認められるかどうかはケースバイケースのようです。
1.暴力:
一過性の暴力の場合は認められないこともあるようです。
2.浪費:
程度によりますが多額の借金、ギャンブル好き、勤労意欲の欠如など。
3.飲酒癖:
働かずに飲酒ばかりしている、飲酒の上で暴力を振るうなど。単なる飲酒好きという程度は原因とならないようです。
4.性格の不一致:
自己中心的な性格、わがままなどにより婚姻生活が回復し難いまでに破綻していると判断される場合など。
5.親族との不仲:
単なる嫁姑の不和程度では原因とならないようです。
6.宗教活動:
宗教観があまりにも違うため、婚姻生活が回復し難いまでに破綻していると判断される場合など。

7
慰謝料及び有責配偶者とは?

有責配偶者とは不貞を犯した配偶者、暴力を振るった配偶者などのことです。その場合 相手方配偶者は、有責配偶者に対して慰謝料を請求することができます。

8
有責配偶者からの訴を提起することができますか?

次のような場合に認められたケースがあります。
1.別居期間が長い
2.未成熟の子供がいない
3.相手の配偶者が苛酷な状況におかれない

9
協議離婚のときにどのような内容に注意し、話し合えばよいですか?

次のような内容を盛り込み、そのうえで書類(離婚協議書)にまとめるほうがよいでしょう。
1.未成年の子がいる場合の親権者、監護養育権者
2.離婚後の姓と新戸籍の編成
3.子の扶養料(養育費)
4.財産分与
5.慰謝料
6.子との面会権
7.現実の別居、離婚届の提出、荷物など

10
扶養料、財産分与、慰謝料とは?その金額の基準は?

次のとおりです。それぞれの金額の基準はありますが、あくまでも話し合いによります。
1.扶養料:
子供が成人するまで夫婦には扶養の義務がありますが、夫(父親)の全収入で子供の扶養が行われている場合には、子供が成人するまで又は大学を卒業するまで夫は妻子に支払うことになります。ただし、財産分与に含まれない場合です。
その金額ですが、子一人当たり3万円から5万円が多いようですが、夫の収入を参考に決定することが多いようです。
2.財産分与:
婚姻生活中に夫婦の協力で蓄積された財産を離婚に際して清算し分配することで、離婚後の妻子の生活補償をかねようとするものです。
その金額ですが、法律上の算定方式はありません。基本的には夫婦の話し合いにより決定しますが、事情に応じて数十万円から一千万円程度までの間で、判例を基準とすることが多いようです。
3.慰謝料:
精神的苦痛損害金とも言いますが、離婚の原因を作り出したほうが、相手に対して支払うべきものです。

11
夫婦の一方が外国人の場合や双方が外国人の場合はどうすればよいですか?

どこの国の法律が適用されるか(準拠法)が問題となりますが、「法の適用に関する通則法」という法律によります。夫婦が日本に住んでいる場合、概ね日本の法律が適用されますので、協議離婚も裁判による離婚も日本人同士と同様の場合が多いです。とはいってもケースバイケースですので、詳しくは行政書士など専門家にお尋ねください。

12
離婚後未成年の子をもつ母子家庭になりますが、しておくべき手続はありますか?

離婚後の手続(主に母親側のする手続)として次のようなものがありますが、それぞれ右に記載の役所窓口か専門家にお尋ねください。
離婚後未成年の子をもつ母子家庭になりますが、しておくべき手続はありますか? 1.子の氏(姓)の変更許可の申し立て  家庭裁判所
2.子が母の戸籍へ入る場合の入籍届け 市町村(区役所)戸籍係
3.児童扶養手当 市町村(区役所)又は福祉事務所
4.児童手当 市町村(区役所)又は福祉事務所
5.母子医療助成 市町村(区役所)又は福祉事務所
6.健康保険 市町村(区役所)又は会社
7.国民年金 市町村(区役所)

13
配偶者からの暴力には、身体的なものだけではないと聞きましたが、どのようなものがみとめられるのですか?

身体的暴力のほか次のような暴力が含まれます。いずれか単独で行われるというより、複合的な形で起る場合が多くみられます。
1.身体的暴力
殴る、蹴る、押す、つかむ、つねる、刃物など凶器を突きつけるなど、ほとんどの場合刑法の傷害罪や暴行罪などに該当する違法な行為で、たとえ配偶者間であっても処罰の対象となります。
2.精神的暴力
大声で怒鳴る、口汚くののしる、無視する、見下す、脅す、相手が大切にしているものを壊す・捨てるなど、心ない言動で相手の心を傷つける行為です。その結果、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に至った場合は、刑法上の傷害罪にあたることもあります。
3.性的暴力
嫌がっているのに性行為を強要する、中絶を強要する、避妊に協力しない、ポルノビデオや雑誌を無理矢理見せるなどです。
4.経済的暴力
家にお金を入れない、妻を働かせない、お金の使途を細かくチェックする、妻名義の借金をするなどです。
5.社会的暴力
社会生活上で人間関係や行動を制限するもので、妻の生活や人間関係・行動などに対して管理したり制限したりする、実家や友人との付き合いを制限し妻を独占しようとする、交友関係や電話を細かくチェックするなどがあります。
6.子どもを利用しての暴力
子どもに暴力を加えたり、暴力を振るう場面を見せたりする、「子どもが怪我してもいいのか」といって脅す、妻から子どもを取り上げる、子どもに母親を中傷、非難することを言わせるなどがあります。

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夫からの肉体的・精神的暴力を受けているのですが、さらなる暴力が怖くて離婚を言い出せません。どうすればよいでしょうか?

都道府県が配偶者からの暴力について支援センターの機能を果たしています。まずはセンターや警察に相談をして下さい。センターでは、相談やカウンセリング、必要であれば保護施設の紹介、自立生活促進のための情報提供や援助を行ってくれます。

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暴力がエスカレートし、身の危険を感じるような場合はどうすればよいでしょう?

地方裁判所に「保護命令の申立」を行うことができます。命令の種類は、(1)接近禁止命令(6か月)(2)住居からの退去命令(2か月)これは、事実婚の相手・離婚した配偶者に対しても申立をすることができます。申し立てに基づき裁判所が加害者に対して命令を発します。これに違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

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「保護命令の申立書」に記載する内容はどのようなことでしょう?

配偶者からの暴力を受けた状況などのほか、配偶者暴力相談支援センターや警察に相談した事実等があれば、その事実を記載します。事前に、センターや警察に相談していない場合は、公証人役場で認証を受けた書面を持参して下さい。公証人による書面の認証には費用がかかります(参考:平成20年1月現在1万1千円)。

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平成19年4月から年金制度が変わり、夫の年金の半分を離婚した妻が受け取れるようになったと聞きました。熟年離婚を考えているので、この制度について教えて下さい。

この制度は、平成19年度と20年度の2段構えで仕組みが変わりました。
平成19年度4月から、婚姻期間中に該当する夫の報酬比例部分(老齢厚生年金)の最大2分の1を妻が受け取れるようになりました。これには夫の合意か裁判所の決定が必要となります。
更に、平成20年度4月からの新制度では、妻が社会保険事務所に申し出れば、夫の合意が無くても報酬比例部分(同)を半分もらえるようになりました。ただし、無条件でもらえる部分は、平成20年4月以降の婚姻期間についてのみとなり、それ以前の婚姻期間に関しての分は、やはり夫の合意などが必要です。
この制度を期待する方も多いようですが、無条件で半分獲得は現実には非常に難しいといえます。
注)年金の問題は、年齢や就労条件などによって個々のケースで大きく異なります。日本年金機構が提供する年金分割に関する情報提供サービス等を利用し確認するか、最寄りの年金事務所に年金手帳を持参しご相談下さい。 http://www.nenkin.go.jp/question/016/divorce_qa_ans01.html

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成年後見制度とはどのような制度ですか?

認知症、知的障害、精神障害で判断能力が不十分な人の法的保護と支援を目的にした制度で従来からもありましたが、現在では2000年(平成12年)4月1日から改正施行された新しい成年後見制度になっています。具体的には、判断能力が不十分になると介護サービスを受ける場合の契約が困難であったり、不利な契約をさせられることや悪徳商法の被害にあう可能性があり、そのようなときに本人に代わって後見人等が法律行為をし、法的保護や支援をするというものです。

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成年後見制度とは、どういったときに利用するものですか?

認知症、知的障害、精神障害等で判断能力が不十分となった人の法律行為を代理し、本人に代わって財産を管理し、本人が不利益を被らないように保護する必要のある場合などですが、身寄りのない人が病院に入院または施設に入所するときの法律行為(契約等)を代わってする場合なども考えられます。

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成年後見制度の利用対象となる人は?

認知症、知的障害、精神障害等で判断能力が不十分となった人で、家庭裁判所に申立て、審判を受ける必要があります。

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成年後見制度を利用するにはどうすればよいですか?

本人、配偶者、4親等内の親族(4親等内の血族又は3親等内の姻族)、他類型の援助者(保佐人、補助人)、未成年後見人、監督人及び検察官若しくは市町村長(身寄りがない場合)が申立人となり、家庭裁判所に申し立て、審判を受ける必要があります。詳しくは家庭裁判所にお問い合わせ下さい。

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成年後見制度の手続の具体的な流れはどのようになっていますか?

下記のような流れで、おおむね3?4ヶ月の期間を経て後見が開始されます。
1.家庭裁判所に後見開始の審判の申立て
2.家庭裁判所調査官による調査
3.医師による鑑定
4.家事審判官による審問
5.家庭裁判所による審判
6.後見開始

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成年後見人、保佐人、補助人はどのような人がなれますか?

特に資格はありませんが、下記に該当する人は選任されません。
1.未成年者
2.かつて家庭裁判所で後見人等を解任されたことがある人
3.破産者
4.本人に対して訴訟をしている又はしたことのある人又はその配偶者、直系血族に当たる人
5.行方の知れない人
また、一切の事情を考慮して家庭裁判所が選任しますので、申立人の意向が必ずしも通るとは限らない点で注意を要します。

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成年後見人、保佐人、補助人はどのようなことができますか?

本人のため、財産の維持管理、生活、療養、介護に必要な手配をする権限が与えられます。反面、これは義務でもあります。後見人については全ての取引行為に、保佐人、補助人については家庭裁判所の審判により付与された特定の取引行為について代理権があります。また、悪徳商法等の契約の取消権もあります。(保佐人、補助人は同意権の範囲内で取消権を有します。)
また、後見人等は、入院・入所手続等の契約は代理できますが、手術など医療行為に対する同意権は持ちませんので、その点は注意が必要です。

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成年後見人、保佐人、補助人の報酬額はいくら位ですか?

家庭裁判所が後見業務の内容、本人の資力等を総合的に判断し、報酬を付与するか否か、報酬額をいくらにするかを定めますので一概には回答できません。本人が無資力の場合は、市町村の条例等で成年後見制度利用事業として定めている場合がありますので補助を受けることが出来る可能性があります。詳しくは市町村の福祉関係部署にお問い合わせ下さい。

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成年後見人、保佐人、補助人は、成年被後見人、被保佐人、被補助人の身の回りの世話もしてくれるのですか?

後見人等は法律行為(各種の手続)を代理しますが、介護や身の回りの世話などの事実行為は通常行ないません。身上配慮をし、介護サービス業者や福祉行政との交渉等は行ないます。

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成年後見制度を利用しない場合に考えられる問題は何ですか?

入院・入所契約や介護サービス契約を締結する、遺産分割協議をするなどの法律行為が本人では難しく不利益を被る可能性があること、悪徳商法等の被害に遭っても取り消すのが容易ではないことなどです。

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成年後見制度を利用すると、戸籍に記載されますか?

旧制度では戸籍に記載されましたが、新制度では戸籍に記載されることはありません。戸籍記載により不当な差別を受けないよう配慮されています。ただし、契約後の取消等で契約の相手方が不利益を受けないように、東京法務局の後見登記等ファイルには記載されます。(一般には非公開)

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夫が認知症になり介護をしていますが、他に身寄りがなく自分も高齢で将来が不安です。成年後見制度を利用するべきでしょうか?

あなたが元気でおられる現時点では、費用の問題もありますのでご主人の成年後見を急がれる必要はありませんが、あなた自身が認知症となるなど不測の事態に備えるために、任意後見契約と遺言を作成することも選択肢の一つです。あなたが認知症になったときは任意後見人が後見事務を開始しますし、お亡くなりになった場合でも遺言に遺言執行者を指定し、ご主人の成年後見開始について記載しておけば後見開始の申し立てがなされます。お近くの行政書士等にご相談され、十分にお考えになってから判断されることをお勧めします。

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成年後見制度を利用したいのですが費用が負担できませんどうしたらよいでしょうか?

成年後見制度の利用を支援するために、費用負担が困難な人を対象に市町村が助成をしているところがありますので、一度お住まいの市町村役場に相談してみてください。

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任意後見契約とはどのようなものですか?

将来、認知症になったときのことなどを考えて、事前に自分が信頼する人と後見契約を結んでおくものです。Q6でお答えしたように、法定後見の場合は、必ずしも自分が信頼する人が後見人になるとは限りませんので、「自分で決めておきたい」という方は任意後見契約が適しているといえます。

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成年後見制度と任意後見契約とは、どのような違いがありますか?

後見業務に関しては概ね同じですが、任意後見契約の場合は付与する権限を自分で決めておくことができます。また、報酬額も決めておくことが可能です。
注意点としては、任意後見人には本人の自己決定権の尊重という趣旨から、「取消権」が認められていません。この点が、法定後見人と任意後見人の大きな違いでもあります。

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任意後見契約の利点はどのようなものですか?

自分の老後は自分で決めるという積極的なライフスタイルの実現が可能な点です。また、権限以上の事はしてほしくない、判断能力が落ちても正気に戻っているときにした判断を取り消してほしくない、自分の知っている信頼のおける人に頼みたいなどとお考えの方に向いていることや、通常の事務委任契約と同時に締結しておくことで、判断能力が衰える以前から、法的サポートを頼めることなどが挙げられます。

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任意後見契約をするにはどうすればよいですか?

信頼できる受任者と委任事項(代理権を与える内容)を決めて、公証役場で公正証書により契約を締結します。受任者は、未成年であるなど法律で定められた一定の欠格事由に該当しなければ、ご家族、親戚の方でもなることができます。身の回りに適任者がいないときは専門家に依頼するのがよいでしょう。行政書士も任意後見契約業務を扱っています。詳しくはお近くの行政書士にお尋ね下さい。

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任意後見契約に必要な書類はどんなものですか?

本人の戸籍謄本、住民票、任意後見人の住民票、本人と任意後見人の実印、印鑑証明書などです。

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任意後見契約を締結した後に、取りやめることや変更することは可能ですか?

契約を解除(取りやめ)することは可能です。任意後見監督人が選任される以前であれば公証人の認証のある書面でする必要があり、任意後見監督人が選任された後は家庭裁判所の許可が必要です。また、代理権の範囲の変更など代理権に関わるものは変更できませんので、一旦解除してあらためて契約する必要があります。報酬額など代理権に関わらない部分の変更は可能です。ただし、その場合も、公正証書でしなければなりません。

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任意後見人の職務は誰かが監督してくれるのでしょうか?

任意後見監督人が家庭裁判所により選任され、その職務を監督しますので、利用者が安心できる制度になっています。

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