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会社倒産と経営理念・ビジョン・金・従業員の関係

知合いのコンサルタントから、顧問先の中小企業の機器販売会社が、震災をきっかけに、突然死(倒産)したことを聞きました。その会社は、営業力を武器に、取扱商品、売上、利益、社員数が増えている、勢いのある会社でした。震災前には、次の新規事業展開のために、融資による資金調達を図り、事業計画・資金繰り計画も細部に渡って検討し、万全の体制で次の階段を登ろうとしていました。

その矢先の震災。

取扱機器のメーカーの多くが震災の影響を受けたため、商品が入らなくなり、その結果、成功報酬で稼いでいたエース級の営業マンが連れ立ってやめていき、震災から半年も持たずに倒産してしまいました。

さっさと去っていった営業マン達を見ていると、「金の切れ目が縁の切れ目」の典型です。しかし、彼らを誰が責めることができるだろうか?船が沈みそうなときに、社員がその会社のためにどこまで踏ん張るというのか?大企業が経営危機に陥った際には、会社によっては税金を投入したり、または大手に身売りされたりと、その場にしがみつくことで生活の糧が得られるという打算が働くかもしれない。しかし、中小企業が危機に陥ったとき、その社員たちはいち早く、次の仕事を探していかなければならない。
また、会社を自分で興した創業者というのは、そもそも自分が独立するために、所属してきた会社を捨ててきた、という人も多い。実は社員は、そういう社長のことをしっかりと見ているのだ。
そこまで考えると、苦しいときに会社を去っていく社員を、「世知辛い」の一言では済ませられない。

それでは、中小企業経営者としてどうすればよいのか?
よく経営学では、「金ではない何か」つまり、「経営理念」「ビジョン」を社員と共有することで、苦しいときにみんなで力を合わせることができる、と言われる。
本当だろうか?
苦しいときでも、「がんばれば何とかなりそう」と「希望」が見えるかどうか、が重要ではないだろうか?
水に放り込んだネズミが、いつまで泳ぎ続けるか、という実験がある。水に放り込んで、しばらくしてから救い出し、さらに放り込んだネズミは、一度も救済された経験のないネズミよりも、長く泳ごうとするという。つまり、「希望」があれば、がんばろうとするのだ。

「希望」が「金」なのか「自分のやりたいこと」なのかは、それぞれの価値観による。そして、「やりたいこと」よりも「生きていくこと」を最優先に考えなければならない人たちは、「金」が得られなくなると、会社という集団に属している意味がなくなってしまうのだ。
そう考えると、「経営理念・ビジョン」の理念共同体としての会社の前提条件は、社員に「金」の心配をさせないことが大前提となる。今回倒産した会社は、事業がうまくいっているときは「経営理念・ビジョン」で社員の意識を高めていた。しかし、残念ながら、社員に「生きること」を保証できなくなった瞬間、社員は出て行ってしまい、会社は崩壊してしまったのである。

事業は継続することが最重要であり、その前提となる絶対条件は、「経営理念」や「ビジョン」にあるのではなく、「きちんと稼ぐことが出来る」という、至極当たり前のことなのだ。

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