航空機の製造は、極めて複雑、かつ高い安全性が要求されるため、様々な試行錯誤の結果、製造方法が一旦固まってしまうと、「フリーズ(工程凍結)」といって、一切変更されなくなってしまう。したがって、航空機事業に参入したい部品メーカーなどは、既存の機種については参入の余地はゼロ、ということだ。つまり、航空機事業に参入するには、新規機種開発のタイミングしかない、ということになる。
創業でも、新規事業の立上げでも、「タイミング」がある。事業を始め、軌道に乗せていくためには、自分だけの都合でどうなるものではない。「お客様」「協力者」「景気」など、周囲の都合を見極めないと、事業を始めたがすぐに立ち行かなくなる。そういう意味では、次の打ち手を準備しながら、「その時」が来るのを「待つ」ことが必要になる。
そして、「その時」は突然やってくる。「幸運の女神は前髪しかない」というコトワザどおり、チャンスは「その瞬間」につかまなければ、二度と戻ってこない。「その時」になって、どうしようか悩んでいたのでは間に合わない。だから、「その時」のために、常に技術、人脈、資金など、日頃からしっかりと準備しておかなければならないのだ。