経営と数字~事業計画のイズミ中小企業診断士事務所

 

2009-04-14 00:28:17
経営者と数字と麻雀放浪記
4月12日付け日経新聞に掲載された、森一夫氏の「アニマル・スピリット」と題した文章によると、ゼネラル・モータースのここ数十年の歴代トップは財務部門の出身者であるとのこと。そして、「経営者は数字が読めなくては駄目だ。しかし、計数管理が行きすぎて、冒険を恐れないアニマル・スピリットを絶やしたら、気の抜けたビールのようなものになる。」と書いていました。
全く同感です。
色々な経営者を見てきて、やはり数字を把握している経営者は、しぶとく生き残る確率が高いと感じます。数字に鈍感な経営者は、景気のいいときは何とかなっても、調子が悪くなると場当たり的な金策で借金を増やしジリ貧になっています。
しかし、一方で、短期間の収支やリスクに敏感すぎる経営者は、大きな経営ができません。「あそこが痛い、ここが痛い」と言って何もしない人は、失敗をしない代わりに、何も得ることができないのです。
要は数字やリスクに対して、経営者は敏感でありつつ、目標や夢のために鈍感さも兼ね揃えておく必要があります。
ここまで書いて、色川武大(注)の「うらおもて人生録」(新潮文庫)に出てくる野良猫の兄弟のことを思い出しました。弟はいつもビクビクして人に近づかない。兄は人の機嫌を見てはエサをねだったりする一方、大きな犬が近寄ると、どの猫よりも早く逃げ出すなど、抜け目がなかった。用心ばかりしていたはずの弟はいつの間にか姿を消してしまったが、兄はいつまでも楽しそうにホッツキ歩いていた...という話。
色川はこう書いている。
「危険を避けているだけじゃ駄目なんだねえ。やっぱり、聡明でなけりゃねえ。...一見、バランスをとって、堅実にやっているように見えて、実はただの守り腰になっていることが多いんだ。...守り腰だけでは勝てないんだからね。で、チャンスを見とって攻めて出る勇気も必要だし、物事を大きく正確につかむための広い心も必要になるね。バランスというのは、自然の風にうまく自分を乗せることだからね。だから人生はむずかしいねえ。」
そう!人生はムズカシイのだ!
(注)色川武大は、「阿佐田哲也」名で「麻雀放浪記」を書いた作家。麻雀放浪記は、色川の分身である「坊や哲」が、「ドサケン」「出目徳」「女衒の達」などと、イカサマと駆け引きを駆使した麻雀を舞台に、戦後の日本を生き抜いていく小説。イラストレーターの和田誠が初監督として映画化し、真田広之が坊や哲、鹿賀丈史がドサケンを演じた。

 

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